no name_01
それは、
ほんのちいさなはなし。
廊下の明かりが台所の磨りガラス越しに洗ったグラスに小さく宿る。
君のいなくなった部屋は昨日より少しだけ整っているようだ。
脱ぎっぱなしだったパジャマはベランダで風を受けてるのが見える。
それでも玄関の床に目覚まし時計が裏返しになって落ちているのを見つけて、
わたしは小さく笑ってしまった。
手に取った時計が示した数字をもう覚えていない。
薄暗い部屋の中。ベランダでパジャマが揺れてる。
窓を開けると湿った風が大きく部屋の中に入り込んで、
スッと