読書録📚隷属なき道 ベーシックインカムと一日三時間労働
ベーシックインカムについて知りたくて読んでみました。
帯だけで気になる↓
貧困家庭の子どもは、奨学金の制度があってもそもそも申し込まない(制度があっても視野の外にあって気づけない)
福祉制度を全てやめて、直接お金を振り込むと、人々は学びだす(詳しくは後ほど)
「2030年までに労働時間は週15時間になる」と1930年に経済学者ケインズが予言(1960年代まで労働時間は下がり続けていたが、80年代また上がりだした)
読み終わって、リスキリング支援ではなく、ベーシックインカムこそ賃上げの解決策なのでは…と思ったり。(誰が払うの?とかいくら払うの?とかは置いといて←)
印象的だったところ↓
就労支援よりフリーマネーを
近年、政府による支援は就労重視の方向に進んでいる。
対象者は、仕事への応募、職場復帰プログラムへの登録、強制的なボランティア活動を求められる。
その根底にあるのは
フリーマネーは人を怠惰にする
という価値観。
しかし、数々の研究が、人々がフリーマネーを賢く使うことを示している。
福祉はいらない、直接お金を与えればいい
路上生活者にフリーマネー(自由に使えるお金)を与えたらどうなる?というロンドンでの社会実験。
一人あたり3000ポンド(当時の円換算で45万円)を支給。実験開始から一年半後、全員が、支払い能力や成長に繫がる足がかりを得ていた。
他にも、マンチェスター大学が行った45カ国の貧困層へのフリーマネー社会実験によると
各家庭はお金を上手に利用した
貧困は減少
収入、健康、税収など長期的改善あり
他の方策より低コスト
貧しい人は怠惰。ではない
生産的でいられるのは1日6時間未満労働
労働時間について。
1930年に行われたケロッグ(コーンフレーク工事)の1日6時間労働を導入した実験の結果。
・生産性が向上し生産単価が下がり、それまでの8時間分と同じ賃金を支払えた
・事故率41%減
・労働者の余暇時間↑(読書、庭いじり、教会やコミュニティセンターで市民活動など)
常に創造性を発揮している人が生産的でいられるのは、平均で1日6時間未満(出典)。
労働時間の短縮で解決すること
ストレス減
二酸化炭素排出量減
事故率減
ワークシェアにより失業率減
労働時間が短い国は、男女平等ランキング上位(育児がみんなのものに)
仕事を得るのに苦労している高齢者にも労働を分配できる(どの世代も健康に労働)
格差是正(格差の大きい国は労働時間が長い)→これはベーシックインカムで補うのかな?
日本からアメリカまで、世界中の人々が労働時間が短くなることを望んでいる(出典)。
労働時間が短縮されることで、家庭、地域社会、趣味に関与する余地が生まる。
労働時間の短い国々で、ボランティアの数が多く社会資本も豊かなのは偶然ではない。
労働短縮には"政治理念"が必須
政策として
お金を人々の時間に換え、
教育に投資し、
退職制度を柔軟に、
父親の育休や子育てのためのシステムを変えていくことで、
徐々に労働時間を減らすことができる。
労働短縮には政治理念が必須。
雇用側のインセンティブ逆転させる
私達が労働時間を短縮したくてもできない理由は、雇用主が二人のパートタイム職員を雇うより、一人の社員に残業させるほうが安く済むことに発端がある。(健康保険料など福利厚生費が一人あたりに支払われるから。)
ここから長時間労働は生まれる(一人で勝手に労働時間を短縮すると解雇される心配から)
この悪循環を断つには、企業、国一丸となって行動する必要がある。
感想
性悪説のもとに監視して、自己責任でちゃんと調べた人しかアクセスできない細々とした支援やその場限りのサポートを乱発するのではなく、性善説に基づき思い切ってお金をドーンとばら撒いてみる。
お小遣いみたいな細々したお金ではなく、まとまったお金を。
もしそうなったら自分は有意義に使えるんだろうか?と考え込んでしまいました。
お金というより、各人に十分な時間的余裕があることが大事なのかなと思いました。
お金がないがゆえに時間を切り売りしてしまっている人には、ベーシックインカムにより一旦切り売りの仕事をやめて、ゆっくり考える時間を。
長時間労働から抜けられない人には、一旦無理やり短時間労働にさせる強制力を、そしてそれを補うベーシックインカムを。
他者を出し抜いて長時間労働できないよう一律に。(私は気持ちよく短時間で帰れますが、そうでない人はたくさんいると思う)
一度みんな一律で短時間労働をやってみて、それが当たり前の価値観になると、日本の散発的な問題(少子化、賃金横ばい、格差など)も意外と一気に解決してしまったりするのかもしれないなと、無責任に楽観的な妄想をした読後でした。
ベーシックインカムの本、すごくたくさんあるので、また違う人の本も読んでみたい。
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