読書録📚働かないアリに意義がある
7割のアリは普段巣の中で何もしていない。
2割のアリは一生のうちでほぼ働かない。
らしい。
理由はだいたい予想がつきそうですが、
予想どおりなのか?
人の生き方に何かヒントになるだろうか?
期待しつつ、読んでみました。🐜
読んでみたら、アリの生態が面白すぎて。。
生物学に馴染みない人にもちゃんと分かるように書かれている、おすすめです。
では本題。
なぜ働かないアリがいるのか?
行動が反応閾値で制御されている
巣の掃除をする・しない
子どもの世話をする・しない
巣外へ探索する・しない
アリの行動はすべて「反応閾値」で制御されている。
たとえば
赤ちゃんが餌を欲しがる。
これに対し、
反応閾値が低い個体→すぐに餌やりをする。
一方、
反応閾値が高い個体→めったなことでは餌やりをしない。
相当群が飢えてきた段階で、やっと重い腰を上げる。
なんでサボる個体がいるのか。
その理由。
突発的な仕事に対応するため
アリには、突発的な仕事が多い。
突然空からセミの死骸(巨大な餌)が降ってくる
卵を常に舐め続けないとカビる
人間の子どもに巣口を埋められる
平時に全員が全力出動していると、
突発的な仕事に対応しきれない。
みんなが疲れる社会は続かない
コンピュータの人工生命をプログラムした
シミュレーションによると
前者:全員がいっせいに動くシステム
後者:働かない個体が必ずいるシステム
前者は、労働効率がいい(単位時間あたりの仕事量が多い)。
問題点は、アリが筋肉で動いていること。
つまり「疲労」がつきもの。
シミュレーションでは、前者のコロニーは、長期間存続しなかった。
後者のコロニーには、持続性があった。
みんなが疲れる社会は続かない。
ムシの進化の答
全員がいっせいに働いてしまうことのないシステム。それがアリの世界にプログラミングされている。
「疲労」という宿命がある以上、多様性を包含した、一見効率の低いシステムのほうが長時間存続できる。
働かないアリは意欲がないのではなく、
反応閾値が高く「働けないアリ」なだけ。
この世代の「適者」。未来は…?
アリ社会には、あえて「働けないアリ」を作ることで、短期的な労働効率を下げ、長期的な存続にかけている。
短期的に労働効率の低い個体がいること。
ダーウィンの進化論の「適者」に反するのでは…?
なぜあえて「適者」ではない
"効率の低い個体"がいるのか。
しかし一方で、
今現在労働効率の高い個体は、未来でも、「適者」のままなのか?
そもそも「適者」とはなんなのか。
すべての環境で万能の生物がいれば、
進化は終わるのか…?
自分に"近い"遺伝子を残そうとするアリ
これは余談。
というかこの話が一番面白かった。
大学入試でよく出るらしい。
働きアリは、なぜ自分の子孫を残すのではなく、女王アリが産む赤ちゃん(自分の妹たち)を一生懸命世話するのか?
それは、自分と最も血縁度が近いから。
働きアリ自身が産む子どもの血縁度は1/2
一方、自分の妹の血縁度は3/4(高い)
自分の遺伝子に近いものを残そうとすると
妹を世話するのが合理的。
だから妹のために一生懸命働く。
ちなみに弟の血縁度は 1/4
弟の赤ちゃんが生まれると殺してしまう。
女王アリは「産む機械」
女王アリは息子も娘も同等に大事(自分にとっては血縁度が同じ)。
けど、働きアリ(女王アリの娘)にとっては妹が大事(血縁度が高い)。
女王アリはひたすら子を産み、
働きアリは選択的に妹を後世に残す。
他にも、群選択説というのもありましたが、
この血縁選択説が興味深かったです。
人間はどうなんでしょうね🤔
何に突き動かされているんだろう。