化学エネルギー
まず,エンタルピーはエネルギーとは別の何か,と考えるのはやめましょう。結論から言うと、高校化学ではエンタルピーを化学エネルギーとほぼ同一視しています。化学エネルギーは物質の持っている「仕事をする能力」,すなわちエネルギーのことですから,エンタルピーもエネルギーです。
そして,化学反応によって物質の化学エネルギーが変化すると反応熱という熱エネルギーに変換される,というのが,高校理科に基づく理解なのかなと思います。
学習指導要領では,
と書かれています。高校生にはエンタルピーの定義などの熱力学の細かい理論よりも,エンタルピーという名の化学エネルギーの差が熱や光となって出入りするのだということを,実験を通して体験的に理解してもらえば良いのかなと思いました。
とはいえ,いろいろとモヤモヤすることはあります。
教科書の内容は3つの用語を以下のような感じで捉えています。
エンタルピーの変化 = 化学エネルギーの変化 = 反応熱
ここで,以下のような2つの疑問が生じました。
なぜ化学エネルギーをエンタルピーという言葉に言い換えるのか?
化学エネルギーと反応熱はどのような関係にあるのか?
これについて,今,いろいろ考えているところなのですが,まだ,まとまっていません。エンタルピーという言葉の導入については「国際標準に日本も合わせることにしたから」とか「高大接続のため」という話も聞いています。
ですが,そのようなことは高校生にとっては大人の事情であって,どうでも良いことです。高校生はエンタルピーをどのように理解すれば良いのだろうか?そして,その理解は大学生と同じであるべきなのかどうか,といったことが私は気になっています。
とりあえず,次から大学で学ぶエンタルピーについて考えてみようと思います。