サニーサイドはかわいいけど、目玉焼きは冷静にぐろい。
朝起きた瞬間、「たまご!」と思った。鼻先に卵の黄身の香りが掠めた気がしたのだ。卵を食べる夢でも見たかしらと記憶をたどるが、合コンに行く夢しか見ていなかった。合コンの食事に卵がいたのか。ちょうど昨日合コンに誘われたけれど、一ヶ月後だし場所はバーみたいなところだ。行ったことがある場所だけど、たぶん卵は出ないだろう。
家に卵はなかったけれど、もう朝ご飯は卵にするしかあるめぇ。
水を飲んで漢方を飲んで、仕方なし近所のコンビニに行った。そとに出ると爽やかな空気が私を迎えた、なんて肌のスワッとするかんじを楽しみにしながらドアを開けたのにむわっとしていた。十月なのに暑いくらいなのがまだ続く。秋はどこに行ったのだろう。みんなが言っていることを私も言って、みんな、の一部になる。
納豆とゴミ袋と豆乳も買ってしまったけど、いつものメンツだから自分を許す。コンビニの冷房はきつかったし、朝番のいつもの店員さんが今日もいた。
マンションに帰ってきて昨日の麻婆茄子を暖めて弁当に詰める。合間に洗濯機を回して、食洗機から皿を取り出す。冷凍ご飯をチンにかけてから卵をフライパンにかけた。あの鼻に掠めた卵の香りは確かに目玉焼きのものだったから、熱々のごはんに目玉焼きをのっけて、醤油をかけたのが今日の朝ご飯だ。ソースも塩もケチャップも好きだけれど、丼にするなら絶対醤油だ。
白身を剥がすのに苦戦しながら目玉焼き丼が生まれた。開け放った窓から雨の音が聞こえて、そいうえば雨予報だったことを思い出した。さっきコンビニに行ったときに降らなくてよかったとしみじみ感心する。運が良い。
追加で柿を剥いて半分食べた。
先週は大学の先生が私を紹介して下さったらしい人から電話があり、昨日は朝から合コンのお誘いがあり、昼には嘘みたいな夢みたいなヘッドハンティングの電話が来た。最後のは電話に出たら英語でびっくりして警戒しまくってしまったが以前お世話になった人からだった。
ありがたいことに縁がつながった出来事がたくさん起こっている。たぶん十中八九ヘッドハンティングはお断りさせていただくのだけれども、それだけ私を気に入って下さったという事実が飛び上がるほど嬉しかった。
机の上の元酒瓶たる水色の花瓶にチョコレートコスモスを手にとる。二日で枯れてしまったけれど私の気持ちに花を手向けてくれた。十分だ。
酒瓶はおもしろい経路で私の手元に来た。その道中は少しショックなこともあったりして頭を抱えたりもした。でも酒瓶はとても綺麗で、大好きな作家さんがコラボしたものであって、大切にしたかった。酒瓶が私の手元に来た経路だって、道中楽しいこともあった。
チョコレートコスモスはごみ箱へ。
酒瓶のなかの水を空ける。
もう雨が止んでいて、外からスワッとした風が部屋のなかに吹き込んでくる。