(詩)素敵な片想い

目を閉じて
いつかぼくが忘れた
ぼくの名前、思い出す時

目を閉じて
飢えと寒さと社会とに
おびえた少年の日々が
ぼくから奪っていった
ほんとうのぼくの記憶

忘れてた、知らなかったよ
目を閉じて
今はただ目を閉じて
忘れてた、知らなかったんだ
ほんとに
ぼくのこどうって

おしえよか
ぼくのほんとうの名前
きみの知らない、今まで

ふしぎだね
どうして忘れていたんだろ
こんなかんたんなこと
目を閉じると

きみが
思い出させてくれたんだ

目を閉じて
聴こえてくる
今はもう波の音だけが

だから
ぼくは、ぼくの名前は

うみ


目を閉じて
いつか傷だらけの世界
抱きしめよう

やがてまた
波のひとかけらに帰る時
だけど女の子に
恋することだけは
やめない気がする

いつか
海のかけらにかえっても
きみに片想い、だったこと
忘れない

きみにふられても
それでも懸命に
いっしょけんめい生きていた
あの頃の
ぼくを忘れないため

素敵な片想い
片想いは素敵な

目を閉じて
今はもう
聴こえてくるのは
波の音、だけだから

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