(詩)さびしげな口笛

雨の海辺にたたずんで
さびしげに口笛吹いたら
うみどりが一羽
近付いてきた

「おまえも
 だれかと
 わかれたか」

とりはじっと
雨にぬれたまま
海を見ていた

「よかったら
 ぼくのかさに
 はいらないか」


雨が上がり
とりは波を飛び越え
大きな岩の上に
着地してふりかえり
ぼくを見た
ふしぎそうに

けれどぼくは
首を横にふった

「そうか
 おまえには
 つばさがないのだな」

どうしてひとは
鳥に進化しなかった
そんなに重い
さびしさだけをかかえ


雨の海辺にたたずんで
さびしげに口笛吹きながら
一羽のとりと
海を見ていた

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