(詩)雲の入江

大きな雲が入江の振りして
夕映えの空に佇んでいる

きっと海の見えない街だからだよ
だから人間たちを慰めようとして

でも今の人間たちは
夕映えの空なんか
見上げないからなあ
あゝ勿体ない

折角の雲の入江が
夜の帳に消えたら
それでも銀河の星たちが
消えた入江をなぞるように
瞬き出す

ほら耳を澄ませば
夜空の潮騒だって
聴こえて来るだろ

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