(詩)雨小僧

いかにも
100均で買いました的
雨合羽で
朝から赤い棒を
振っている中年男の

額に滴り落ちる
透明な雨の雫
雨合羽のビニールに
当たって砕ける雨粒の音

こら、雨小僧
いつまで
メソメソしてやがる
さっさと泣きやめ

灰色の空を見上げながら
恨めしげに男は呟く

おいこら、雨降り小僧よ
どこに隠れていやがる
とっととお天道様と
交替のお時間、です

頼むから、ねえ、お願い
良い子だから、
雨降り小僧の旦那
なあんてね


良い大人も
雨小僧にはお手上げ

レインコートなんて
そんな上等なもんじゃなく
100均の雨合羽ですけど
こっちも
びしょ濡れの雨小僧

額に滴り落ちる
透明な雨の雫
雨合羽のビニールに
当たって砕ける
どこか懐かしい六月の
雨の音

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