(詩)ラッシュアワーのQ太郎

知らない者同士が相席したり
知らない者同士が
並んで立ったり、向かい合ったり
でも言葉は交わさない
挨拶も視線もなんにも
みんな
ただそこにそうしているだけ

名前も知らない
何も知らない人たちの中で
今日もこうして
わたしは生きている
人の数だけ
それぞれの人生があって
そんな人生に
今囲まれながら
確かに囲まれていながら

やっぱりわたしは
ひとりぽっちでいる
今日もわたしはひとりで
こうして確かに
それでもやっぱり
生きているようです

誰かを励ますことなく
誰かに励まされることもなく
それでもやっぱり
生きているわたし
生きているわたしたち
否生きている
他人という名の人間たち

なんだかのっぺらぼう、
正体不明の
透明人間みたいだね
それとも人間もどき
或いはオバケのQ太郎

ラッシュアワーは
そんなパー子やQ太郎の集合体
今日も見知らぬ
パー子とQ太郎を乗せた
満員電車が走り去る
都会の朝と夜を
駆け抜けてゆく

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