見出し画像

(詩)どこでもドア

もしもぼくが
この世界から去ってゆく時
きみの前からいなくなる時

きみは
あのうた、歌って
見送ってくれよ
きみが小さな頃から
知っている、あの

いつも
女の子にふられると
それで世の中すべて
終わったような
つもりになって

だけどいつも
別の子がちゃんと現れた
だから

おわり、なんか
ほんとは、ないんだ

いつでもそこに
新しいドアが待っている

かべのむこうに
道のむこうに
線路のむこうに

海のむこうに
空のむこうに
夜のやみの銀河の彼方に

いつでもどこでも
だれにでも
いつでもドアと
どこでもドアが
開いているんだ

だってこの宇宙は
ドラエもんのポケットで
できているから

いつでもどこでも
そのドアの前に立つ時
人はなつかしい海の音を
聴くことができる


いつかぼくが
この世界から去ってゆく時

きみも今度
きみが失恋した時は
きみからきみへと
あの歌を口ずさめばいい

だけどきみはきっと
まわりのみんなから
変なやつだと
思われるだろうな


もしもぼくが
この世界から去ってゆく時
きみの前からいなくなる時
きみは

あのうた、歌って
見送って下さい

ほらあの
ハッピー バースディ トゥ ユー

さようならのかわりに
うたっておくれ

いいなと思ったら応援しよう!