(詩)草の祈り

燃え盛る夏の太陽を浴び
風に吹かれ
大地に根をおろした
草たちの瞑想


通り過ぎる列車
排気ガス撒き散らす車の列
夢のようにさまよい歩く
人々の足音
駆け抜けていった幾歳月

なにもかも
こうして存在する
すべてのものに
その存在するそのままに
また消滅してゆく
すべてのものに
あるいは
生まれてくるものたちに


なぜ、きみたちが
そういう色をしているのか
科学的説明でなく、わかる

きみたちは
祈っていたんだ

きみたちの
祈りの姿をあらわした
一面の緑世界

拒むことなく、苦しむことなく
ただ静かに
その目を閉じて

なにもかもすべて
傷ついたものたちのために
その苦しみのために
その、いたみのために

夏の焼けつくような
太陽を浴び

祈りの中に自らを捧げ

草たちが
静かに燃えている

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