冬の華

冬に咲く花が好き

冬に咲く花のはなの字は
花でなく、華がいい

冬のつめたさ、きびしさ
さみしさを抱いて
強くぎゅっと
抱きしめながら咲くから

じっと黙って
咲いていることさえ
忘れ去られながら
それでもひっそりと
誰にも知られず
咲いているから

降りしきる雪の
まっしろな白さにも
負けないくらい
白く白く咲くといい

しんしんと
しんしんと咲けばいい

冬に咲く花が、好きだった

はじめてわたしのことを
好き、と言ってくれた
貧しい家の少女の面影、想い出すから

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