(詩)九月の駅

九月だった
まだ夏の暑さが
陽射しの中に残っていて
モノレールのホームに
並ぶ人の背中も
薄っすらと汗ばんでいた

朝寝坊で
自転車通学のきみは
いつもぼくの乗る時刻の
ぎりぎりで
ホームへの長い階段を
息を切らし
駆け上って来るのが常だった

そんなきみと出会ったのが九月
きみが夏休みの間に
この町へ引っ越して来た
ぼくだったから
必然的に出会ったのは九月

汗びっしょりで
モノレールに飛び込んで来る
きみが可笑しくて
笑ったぼくを
きみが睨み付けたのが
運命の瞬間だった

まだ夏の暑さが残る
眩しい陽射しが
その時ぼくの胸の中で
熱くとけていった


きみの頬の汗は
やがて涙に変わり
ローファーのきみの足音は
いつか大人びて
九月の駅のホームから
そして都会の雑踏へと
消えていった

九月だった
すべてが可笑しい位
悲しい位、九月だった

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