(詩)アングリマールヤ

世尊の足にひざまずく
アングリマールヤのように


ゆっくりと
夜明けの風が
わたしにも吹いています
消えてゆく
銀河のまたたきは
わたしの目にも映って
いくどもけがれて
曇ったはずの
わたしの目に

どこかで
おなかを空かした
野良猫が鳴いている
やがて
始発電車が街を走り出す
その気配さえ感じられる

そんな
今のわたしなのです
人はなぜ
あやまちを犯すのでしょう
あたかも
過ちをおかすために

この身ひとつだけを
あたえられ
あてもなく
この世界にただひとり
放り出された

まるで貧しく
住む家を失くし
路頭の巷に
放り出された人々のように

いかなる罪を犯して
わたしはここに
やってきたか
何ひとつ
生きるすべも持たず

いかなる罪を犯せば
いかなる罪を犯したために
今、今日
こうしてわたしは
ここに存在しなければ
ならなかったか


あなたの足にひざまずいて

ゆっくりと
夜明けの風が
わたしにも吹いています

もう
おまえを恨んではいない、と
やさしくわたしに語りかける

あなたの足元にひざまずき

せめて今は

あなたの足元のちりを
わたしの涙で
洗い清めさせてください

世尊の足にひざまずく
アングリマールヤのように

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