第25回高松国分寺寄席
ここんとこ忙しくて落語会はご無沙汰だったのですが、行ってきました入船亭扇辰師匠をお迎えしての第25回高松国分寺寄席!すごく楽しみにしていたのですが、期待以上の大満足な内容でございましたよ。
扇辰師匠が中トリと大トリで二席、その前を地元のアマチュアさんが務めるというおなじみの構成。二年前に初めて国分寺寄席に訪れた記憶も蘇ってきますね。当日のチラシで扇辰師匠以外の方々の演目がわかります。
どれどれ…。えーと…。
エエエエー! (゚д゚)
や、藪太郎さん開口一番で「有馬小便」ですかーーっ!!(;^ω^)
酔亭藪太郎さん『有馬小便』
どんな内容かは知っていましたが実際に寄席や落語会で聴いたことはありませんでした。確かに汚い話ではあるんですが、それでも笑ってしまうのは藪太郎さんに深い品性と技量があるからですね。聴けて良かった。
泡乃家ほっぷさん「トクさんトメさん」
調べてみたら笑福亭仁智師匠の創作落語だそうです。ちょっとブラックな面もあるんですが、ほっぷさんのパワーとキャラクターで楽しい一席になっておりました。
家造亭艶九さん「湯屋番」
メタ的なマクラでお客様を掴んでからは「妄想ワールド✕艶九さんワールド」がノンストップで炸裂しまくりです。期待通りの爆笑噺でした。
入船亭扇辰師匠「麻のれん」
マクラからもう本当に笑わせていただきましたが、根多は「麻のれん」。現在かけられることの少なくなった按摩さんの噺です。これをかけてくださったのはお客様を信用されてるからでしょうね。
想呂家笑志さん「みどりの窓口」
仲入り後は笑志さんです。立川志の輔師匠の名作新作落語。笑志さんならではの賑やかな動作やオリジナルのサゲが光ってました。今年も社会人落語日本一決定戦の予選を通過されたそうです。頑張ってください!
ゆうとゆい さん「俗曲」
三味線と歌は結成されたばかりのこのお二人。初めてお茶子さんをされてた時にお会いしたことがありますが、こんなに歌のお上手な方だったとは…。季節の曲と共に楽しませていただきました。
入船亭扇辰師匠「天狗裁き」
私の大好きな噺です!前回は聴きたかった「一眼国」がかかりましたし、まあ、なんと幸運なのでしょう。江戸弁の天狗裁きは上方とはまた違った面白さがあり、カラッとした小気味の良いテンポで終始笑いっぱなしでした。
そんなわけで今回も大満足の高松国分寺寄席だったのですが、扇辰師匠が大好きな「天狗裁き」をかけて下さったおかげで、ひとつ大事なことに気付きました。落語ってストーリーやサゲの面白さも重要ですが、根本には「生活感」が絶対に欠かせないのだなと。
「天狗裁き」は構造の面白さが抜群で、動かしようがなく、鉄板の笑い話ですよね。でもそれをそのまま提示しても通用しない。長屋に住む人達の息遣いや、奉行所の緊張感や、人ならざる者のリアリティが必要なわけです。それは全て演者さんの継承および創意工夫で成り立っている。
台本(ストーリーそのもの)はあくまで落語の一要素に過ぎない。噺家さんは無限の努力でそこに生活感という命を吹き込み続ける。若い時も、年をとっても、いつでも。だから人それぞれに唯一無二で面白いんですね。
いやはや、やっぱり落語はすごいですわ。扇辰師匠、ありがとうございました。ぜひまた口演にいらしてください。地元アマチュアの方々も素晴らしかったです。これからも国分寺寄席がずっと続きますように!