AI登場と重なるWindows3.1登場時の思い出
昔話をすると嫌がられるかもしれませんが、昨日も30歳の若者と一緒に「bolt.new」や「Replit Agent」で作った画面からAPI連携やDB登録を試作を繰り返す中、「本当にいい時代になったなぁ」としみじみ思いました。
平成の始まりに足を踏み入れたIT業界
私は昭和の終わりに大学を卒業し、平成元年に某システム会社へ入社しました。当時はパソコンなど無く、残業100時間は当たり前。そして何より辛かったのは、あの汎用機の「黒い画面」でした。新人だった私は、全体像の見えないパーツ的な開発に携わり、指示されたIN-OUTを実現するプログラムを日々組んでいました。
過酷だった「汎用機時代」
若い世代には知らない方も多いかも? プログラムを実行するためには、まずコンパイルして機械語に変換する必要がありました。混んでいるとそれだけで15分ほど待たされることも。そして実行すると、コンソール画面に、赤文字で冷たく「アベンド」の文字とエラーコードが表示される…。冷房の効きすぎたマシン室で、その度に肩を落としたものです。
今から思うと、当時のコンピューター技術者は非常にマニアックでした。十六進数で印刷されたプログラムソースを眺め、「ここが間違っている」と机上デバッグで解決する先輩方を見て、私は「無理だ・・この業界では生きていけない」と思いました。
突然訪れた変化、Windows 3.1との出会い
それでも、当時はインターネットが普及しておらず、仕事を辞める・転職するといった選択肢も限られていました。田舎に帰ろうと真剣に思っていた1992年、会社にWindows 3.1のパソコンが導入されました。まずカラー画面に驚きましたし、画面上で複数の「窓」(ウィンドウ)が開いて、一つのパソコンで複数のアプリケーションが動くという概念にも衝撃を受けました。
新しいもの好きの先輩が、マルチウィンドウ機能に興奮していた姿が今でも印象に残っています。
そして、そのとき「このカラー画面なら、こんな自分でもこの仕事を続けられるかもしれない」と私は直感しました。
IT業界で歩み続けた30年
あれから30年。その出来事がきっかけで、今でもIT業界に身を置いています。
中小企業支援の現場で見た課題
なぜこんな話をするのかというと、私はこれまで中小企業のIT導入支援に携わってきました。しかし何十年と続ける中で、別の行き詰まりを感じることがありました。
DXが叫ばれる一方で、情報部門を持てる体力のある中小企業は少なく、定型のパッケージやWEBサービスを導入しても部分最適の域を出ず、あるいは自社オリジナルを作成しても、要件定義から実装~導入までのスパンが長い。ベンダーとのやり取りが続き、費用が膨らむ中で、社長の想いとITが乖離してしまう。
効果を実感する前に、「この辺りでいいか」となってしまうことも少なくありません。
AIの登場がもたらす新たな希望
そんな中で登場した「AI」。特に2024年の進化は、私にとってWindows 3.1が初めて登場したときの衝撃に非常によく似ていました。
「これなら、新しい形で再出発できるのではないか」
そう直感したのです。
新たな未来に向けて
Windows 3.1の登場が私にとってのターニングポイントだったように、AIの登場は今、IT業界に新たな可能性を感じさせています。この30年で私が学んだのは、技術の進化は必ず新しい道を切り開くということです。そして、その道をどう活用するかは私たち次第。
中小企業のIT導入支援において、AIはこれまでの課題を乗り越える鍵となるかもしれません。スパンや費用の問題、そして社長の想いとの乖離といった壁を、AIというツールが乗り越える手助けをしてくれると信じています。
時代は変わりましたが、あのWindows 3.1を初めて目にした時と同じ直感を信じて、新しい未来に取り組んでいきたいと思います。