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卒論仮提出で急ぐ男に、ガパオライス

卒論提出って何?って考える でもそれを考えようとすることがもう 卒論完成なのかもしれない

トロロ『ガパオライス』

※今日と書いてあったら、3月3日の意味で捉えてください🙇‍♀️

どうも、慣れない手つきで手料理を振る舞ってくれたタイ人留学生を好きになってしまいましたトロロです。
え?もうちょい『ガパオライス』でいじって欲しい?おいおい…さすがに無理あるって!(実は結構時間かけて全部替え歌にしようとしたけど、納得のいきづらい文が何箇所も出てしまったので以降はボツにしました🥹)

 今日は本来なら!!

『卒論 Word 仮提出』デー👏👏👏

 と公に決められていた。しかし、周りに進捗を聞いたら案の定誰1人として"仮"すらも到達してなかった。さすが俺たちの代。ぬるま湯よりぬるま湯。もしや不感温度温泉かな。なんか気になって行きたくなってきたね!

 そんなぬくぬくした環境に毎回抗っている(⇐自称⇒)真面目な僕は卒論を今日学校でガガガッと書きまくって終わらせるぞ!って思っていた。でもPC作業前に小耳に挟んだ留学生の「Cook ガパオライス!」の声を聞いて、私は震撼した。我々の使う学部生の部屋にのみ、IHヒーター付きキッチンがある。あの人は飯テロの狼煙を上げた。つまりこのフィールドは今からタイの家庭の台所になってしまう。この場から避難せねば…

 と思った途端、時すでに遅し。留学生は既に、食材の入ったレジ袋を机にドシンと置いた。中はバジル、鷹の爪(唐辛子)、牛挽肉、卵、にんにく、スティックタイプの砂糖、ミニサイズの醤油、オイスターソース…しかもバジルの袋には、ガパオライスに添える想定のイメージ写真。食材を置いた横に静かに佇んでいた僕の銀色のPCの画面が、真っ黒になった。

 最初は院生が助手に入って手伝うのだとばかり思っていたが、院生は修論作業で慌ただしい様子。留学生は初めてここのキッチンを使うので、誰かが一応監督を付けるべきだと考えた僕は周りを見渡した結果……消去法で僕になった。

 まず生卵で目玉焼きを作る。油をやや多めに引いて、生卵を投入。1パック10個の卵を使って、9個の目玉焼きのできあがり!
ん?違和感?いや何のことですか?10個使ったら、目玉焼き9個にはならないって?僕を責めてます???僕は留学生が焼いてる時に、キッチンの下の開きに「今使ってるフライパンより使い勝手良さそうなのあるかな」って探してるうちに、なんかこう…ボトン!って音を聞いただけですから。まさか僕が開きを閉めるときに思い切りバタンとやっちゃった振動のせいで、水道の縁にあったパックの卵がバーッと転がって排水溝へ…なんて想定してます??それに関してはノーコメントで。
 ちなみに留学生には僕の顔をしっかり見て笑顔で「It's Okay.(×3 times)」と言われました。何のことやらさっぱりですね???

 そういえば、途中から後輩の女性Aさんが参加した。「今、この方がガパオライス作ってんだよ」って言ったら「えー!」とワクワクしながら見に来て、多少作業を手伝ってくれた。元々キッチンはとても狭く、置く場所が本当にないので、物をどけたり、持ってあげたりして、留学生がやりやすい環境を整えてあげる、これが助手の役割である。ただ目玉焼き9個になった時、後輩助手に冷たい視線を向けられた…ような気がしなくもない。

 次に、具である。鷹の爪、牛挽肉、カットされたパプリカやにんにくを炒めて、後からハーブを入れてまた炒める。そしてオイスターソースと醤油を投入。ここで美味しい香りがフワッと漂う。ほぼ出来上がったところで、留学生が試食。「ウーン」自信なさげな反応。"料理人"は自分の舌を信じきれなかったからか、炒めたものを指さして、「Try!」と言う。我々助手は「いいんですか!」と喜んで、まず後輩が小さいスプーンを取って口に入れてみた。「おいしい!けどもうちょっとソルティがいいかな~(本来は簡単な英語) 」と言う。そこで一旦醤油を追加してからのものを、僕が食べ……「美味い!(日本語のまま)」と間髪入れず言えるほどちょうどいいスパイシーさでdeliciousだった(…あっ、英語言うタイミングずれた)。留学生はほっとして、それを採用した。

 完成まで1歩手前のところで時計を見たら、2時間経っている。その間に卒論大分書けたよな…と思ったが、大唾とともに飲み込んだ。
大皿に沢山の炒めた具を移して、出来上がり。と言うのは、普段あまりにも皿を使用していないせいか、洗ったところで清潔になるのか疑わしい皿が多かった。そこで、各々がよそって、目玉焼きもつけたい人がつけて食べるスタイルに決めた。
 院生たちを呼ぶ。元々は院生に振る舞うためだった。学部生部屋にふらっと来た先輩方は「うわ美味そう!」と驚き、僕は「いやいや、美味しいですから」と試食の時の感想を伝えた。そしたら「お前が作ったみたいじゃねぇかよww」と言われた。確かに。じゃあ試食も手伝いもしたのでそういうことにしましょうか()

 院生たち、実食!「あー美味い!」反応ヨシ!院生全員笑顔ですぐに食べ切った。僕も少しいただいた。ああうめぇ~。まだまだ具は残ったので、Aさんも含む後輩たち数名も呼んで食してもらう。後輩たちもスプーンが進んでた。よかったよかった。
 ※ちなみにこの時本来Aさんは院の先輩Xとオンライン(TeamsやZOOMのビデオ通話の類)を通して実験する時刻だったらしく、ガパオライスを食べるか悩んでいたが、その先輩Xは『就活があったためこの場にいない』ことを利用して、「5分遅れます」と連絡してから食べていたそうだ。こちらとしては、呼び止めて申し訳なかった…。

 じゃあここから卒論ってときに、訳もなく立ち上がって実験室の様子を覗いてみたら、後輩Bさんを見かける。実験台まで行き、プロトコルを見ると、私が過去にやった実験のひとつとまるっきり同じだった。ちなみに、Bさんは先ほど残ったガパオライスを食べてくれたうちの1人である。
※加えて、Bさんは『テレビに詳しくはないが、姉がテレビのバラエティーやドラマなど膨大な量を観る習慣が根付いている影響で、観ることはある』という、僕にとっては会話で本領発揮できる貴重な後輩。波長も合うため、本当に良き後輩である。

 「この実験俺もやったよ」親戚のおじさんのように首を突っ込む僕。「あー本当ですか!これ初めてやるんですよ」「誰の下でやってる?」「N先生です」そこでN先生が聞きつけて現る。「どうした?」「同じのやったことあります」「ほんと?」「はい。先生が張り付きで教えるんですか?」と尋ねてみたら意外な回答がきた。「いや、質問きたらピンポイントで教えようかなって」

  つまり訳すと、『実験の行為もまだまだ板についてない学生が、今行う実験もよくわからず初めてやるのに、終始不安なまま実行する』を意味する。
 このことをはっきり言うとキレられそうだが、侮辱ではなく冷静な分析と大きな愛をもってお伝えしたい。僕含めうちの学部生たちは、みな頭抜けて優秀とは言い難い。特に今の3年生が過去2年に渡って実験操作系の必修科目で練習したとはいえ、論文制作に携われるレベルで的確にやれるわけがない。確か必修科目では一人一人がマイクロピペットをしっかりマスターするほどの環境もなかったはずだし、Bさんが今からやる操作もプロトコル上では細かい話が載っておらず、読み取りづらい点が多々ある。もっと言いたいことはあるが、この主張がメインではないので割愛。まとめると、
絶対全部忘れてる。

  先生の発言を聞き逃せなかった僕はつい「じゃあ僕教えた方がいいですか?」「あーまあやりたければいいよ(笑)」やりたければ??僕の中でピキッと音が鳴った。「それなら付きますよ!」この時、最高の爽やかスマイル。あちゃー、お節介モードに突入しちまった。

  後輩には「本当にいいんですか!」と言われた。簡単に「おう」とだけ返した。僕の過去を振り返れば、初めてやる工程の実験では先輩が必ず最後まで付きっきりで教えてくれたから安心してやっていけた。故に、常に監督する指導があるとないとでは大きな差だと経験上感じている。でも、本来は人に教えるほど暇ではないんだよな~。まあ、いいか。

で、結果的に終わるまで4時間以上かかった。僕の時も結構時間かかってたなーと分かってはいたけど、サンプルが予定より上手くいっておらず、さらに工程が増えて、またそれも知っていた僕が教えた。終わると、どっと疲れた。予定とは違う疲れ。しかもその大半が実験中の余談でベラベラ喋ったことによる要らない疲労。大体テレビの話か昔の音楽の話。完全に自己満。これが僕に彼女が出来ない要因の最たるもの、とされている(人に言われるだけで、納得はしていない!)。でも後輩Bさんは話が面白い!って僕だけでなく他の人にも言ってくれる。泣けてくる。出来のいい後輩です。
実験中の余談で覚えてるのは、「俺過去3度失恋しててさー」とつい明るいタッチでめちゃくちゃ暗い過去を一部話してしまい、「1人目と2人目は一目惚れしたんだよ」って言ったら「先輩チョロいんですね。3分の2一目惚れじゃないですか」と突いてきたこと。あの時の後輩の即レスも相まって大爆笑したけど、同時に胸に鋭い矢がブッ刺さったと思うwうん…チョロいんだよ…ね。

でも実験に関しては、後輩から凄く感謝された。俺は照れ隠しで目線を違う方に向けて「おう」と返して、別れた。


こんな1日も、悪くはないか。


おまけ

帰り道。Bさんは女性だったことから、「もしかして次会った時デートに誘われたり…?!」とか考えてしまう自分が、やっぱりいた。以上、チョロくておめでたいヤツでした。

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