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奥多摩ラプソディ 2024/09/07

ここしばらく、やりたいことは山ほどあるのに何も出来ないという悶々とした状態が続いている。

こうした鬱々した気分の時、私は思い切って一人で鉄道に乗って日帰りの旅に出るようにしている。今日はその旅の記録を。


10:00:朝食

1日分余らせている18きっぷをどう使うか考えながら、西荻窪にある行きつけの喫茶店で朝食を食べた。
悩んだ結果、今日は奥多摩に行くことにした。西荻窪からなら大して時間はかからないので、日が暮れる頃には戻ってこられるだろう。

~11:50:西荻窪駅~三鷹駅~国分寺駅~青梅駅

移動中の水分として「午後の紅茶 レモンティー」500mlを買ったら、西荻窪駅から中央・総武線の各停電車に乗って三鷹駅へ。
三鷹駅から大月駅行きの中央特快に乗り換える。
西荻窪から西の方面に向かうとき、いつも三鷹乗り換えがなくなればもっと便利なのにと思う。中央線はいわゆる「杉並三駅問題」など、歴史的経緯が積み重なっておかしな運用になっている電車が多い。三鷹乗り換えも、何かしら理由があるのだろう。

続いて国分寺駅で青梅線直通の各駅停車に乗り込む。
青梅まで、1時間ほど座って移動。ここでiPadを開く。
前から一度やってみたかった「やりたいことを全部リストに書き出す」ということを試してみた。
書いて気づく、自分の強欲さ。こんなにやりたいことだらけじゃ首が回らなくなるのも当然だ。優先度をつけて、諦めたほうがいいことは諦める切り捨てが必要だと思わされた。
普段と違う環境で自分のやりたいことと向き合うのは非常に良い試みだった。また迷うことがあればやってみよう。

11:50~12:30:青梅駅~奥多摩駅

青梅駅に到着。電車を乗り継ぎ、東京の秘境、奥多摩に足を進める。

青梅線のことを「東京アドベンチャーライン」って言ってる人0人説

青梅から奥多摩まではおよそ40分。ここではiPadを閉じて、ゆっくり座りながら車窓を楽しもう。と思っていたのだが、想定外に多くの人が乗り込んでくる。座るところは無かった。

仕方ないので、立ってラジオを聞くことにした。

見上げると車内の案内電光掲示板にはにっくき「TRAIN TV」が流れている。おのれ、こんなところでもTRAIN TVを見させられるのか……山間部の風情を楽しみたいのに、誰がHIKAKINの変顔が見たいのだ。JR東日本はどういうつもりでこんな企画を打ち立てたのか……

電車は奥多摩の山々に沿ってぐねぐねと何度もカーブを描きながらゆっくり進む。まっすぐした道をひたすら爆走する都会の鉄道と異なり、山間部を走る電車は速度を出すことができない。都会のように速達可能な物流網をつくろうと思ったら、コストをかけてトンネルを掘るしかないだろう。日本最大の平野、関東平野が日本一の都市圏に発達した理由がよく分かる。平野なら、山でトンネルを掘る時間とお金で街を築くことができる。

車窓を眺めていると、車やバスで走れば気持ちいいんだろうなという立派な吊り橋が見えた。自分が車を運転してあの橋を渡る想像をする。できない。免許証は持っているが、このような山道を事故なく進んでいける自信がない。吊り橋の手前で崖から落ちるか、山の法面に車をこすってスクラップにしてしまうだろう。諦めて、今後も公共交通機関のお世話になっていようと決めた。

約20分後、沢井駅に着く頃には乗客数も減り、ようやく座れた。奥多摩までの残り時間を確かめるため、仕方なく掲示板を見ると武蔵野線遅延の案内が。

「XX駅とYY駅間での線路に支障物の影響で、一部列車に遅延が生じています。」

なんだこのわかりにくい日本語は?支障物は障害物といえば良いだろう。差別語に当たるから使えないのだろうか。それなら仕方ない。ただ助詞の使い方はもっとなんとかならなかったか?

12:30:奥多摩駅到着、まさかの南下

ラジオを聞きながら、考えに耽っているうちに奥多摩駅に到着した。

がんばれシャミ子

事前に何も調べずに来たので、奥多摩には何があるのか知らない。とりあえず、近くにあったバス停に行くことにした。

『小菅の湯』行きのバス。
なるほど。確か交通系Youtuberの西園寺さんが紹介していた、東京と山梨の間にある秘境温泉だったか。

よし行こう。無計画に始まった旅は、奥多摩から南下して山梨まで行く羽目になった。

小菅の湯までの道のり

このバスがまあすごいバスで。

奥多摩湖沿いの険しい道をクネクネ曲がりながら進んでゆく。都内とは思えない美しい風景が広がる中、本当にバスで通れるのか?と不安になるような道を見事駆け抜けていく。
小菅村の役場付近では、道路に強烈な段差があるようで。段差を乗り越えた瞬間、車内は心臓に響くほどの巨大な振動に襲われた。

人生で乗ったバスで、最もスリリングだった。

葛飾ラプソディならぬ、奥多摩ラプソディなんてワードが脳裏によぎった。

山梨との県境を越えたあたりからは乗客は私一人。
バスは時速30km制限のところ、体感20kmほどの速度で慎重に進む。
こんな険しい道で事故なく運転する運転手さんはすごい。

13:30:小菅の湯、到着。

約一時間、スリリングな山道を進んだ先に小菅の湯はあった。
どうやら、約70分後にここから山梨県大月まで抜けるバスがあるらしい。じゃあ、このバスで帰ろう。小一時間程度しかいられないが、十分。

小菅の湯 外観

わざわざこんな遠くの温泉に来るくらいだ。著者のことを温泉が好きな人だと想像した読者もいるだろう。
残念ながら、私は温泉はあまり得意ではない。理由は単純。長湯が出来ないから。自宅でなら、防水スマホを持ち込んで1~2時間長風呂するのだが。温泉でスマホを持ち込むわけにもいかず。
800円の入湯料と、200円のレンタルタオル台を払って、風呂に入った時間は総計10分。
私は、温泉よりも温泉に行くまでの旅程に楽しみを見いだすタイプだ。

お腹が空いたので、施設内にあった食堂で飯を食べることにした。刺身盛り御前があったのでそれを注文。非常に美味しかった。何の魚の刺身なのかは分からなかったけど。多分山魚だよね?

刺身盛り御前 1500円
近くにあった道の駅で、ソフトクリームを注文。写真撮影下手か。
男子トイレにて。トイレで一歩前に進んだくらいで、人生は変わらないと思うよ。

14:40~:小菅の湯~大月駅~帰宅

飯を食べ、近くの道の駅でソフトクリームを食べ終えた頃には、大月駅行きのバスがやってきていた。
後はまっすぐ帰るだけ。

大月駅行きのバス
小菅の湯から大月駅への道のり

車内では、結束バンドのライブツアー用新作EP、『We will』を聞いていた。
後藤ひとりの初オリジナル曲『夢を束ねて』は、非常に青山吉能みの情緒たっぷりでとてもよい。『あやめ色の夏に』や『透明人間』に通じるものがある。

1時間のバス移動の末、大月駅に着いた。

大月駅にて

後は、中央特快に乗って帰っただけなので語ることはなく。帰りの電車はよく寝られた、

おわりに

18きっぷが使えないバスに2300円も払っている。JRの移動区間も大した値段ではない。計算していないが、18きっぷの元はとっていないだろう。だがそれでいい。18きっぷ旅の良さは、その場で好きに行き先を変えられることだ。

『やりたいことリスト』を車内で書き切れたのはとても良かったし、たった10分だけだったが温泉もよい気分転換になった。明日からがんばれそう。まずは、途中で止まっている、ミニゲーム制作と記事を仕上げるところからやるぞ。


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