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読書感想文 #6:ワラビー☆ワナビー/瀬戸うみこ

ゲームのテストプレイのバイトを始めた一生。ゲーム内でクアッカワラビーのキュービーと出会い心癒されていくが、実は開発者の相羽がキュービーの中の人だったと知り……!?
天才ゲームクリエイター×傷心男子の胸きゅん癒し旅BL!

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好みとの合致度:60%
 - 絵柄:2/5
 - ストーリー:3/5
 - キャラ:3/5
 - ノリ:4/5


ずっとふざけてる

大体にしてタイトルが「ワラビー☆ワナビー」な時点で悪い意味でふざけているとしか思えない。

どうせイロモノ漫画でしょ、テンションだけのつまんないギャグばっかで全然笑えないパターンの。そう思った。

でも……なんでワラビーなんだろう?

まんまと釣られて試し読みすることにした。
買うことはないだろうけど、とタカを括って。


ゲームのテストプレイをしている主人公の一生いっせい

冒頭、ゲームの世界で出会った小動物を一目で「クアッカワラビー」と理解し、「クアッカワラビー?クアッカワラビーだ。人懐っこく常に笑顔に見える究極の癒し生物クアッカワラビーがいる…」と、「クアッカワラビー」を連呼。

p.11/220

それを見た私は変に冷静になってしまう。

「めちゃくちゃかわいいのがいる!」とかじゃなくマイナーな単語を連呼させるという描写。たぶん作者が「クアッカワラビー」の語感を面白いと思ってるからなんだろうな……と暗雲が垂れ込めだす。

温度差についていけなくて引いちゃうパターンな気がしてきた。
「あーこれ面白いと思ってんだろうなー」と思いながら真顔でページをめくる、あのモードになっちゃうんじゃないか?

ちなみにクアッカワラビーを画像検索したらめちゃくちゃかわいかった。

クアッカワラビー

ん?タイトルは「ワラビー」なのに出てくるのは「クアッカワラビー」なの?別の生き物なのに?

一生がそのワラビーをゲーム内でのオトモにし、キュービーと名付け、一緒にゲームの中を探検する話が進んでいく。
しかしどうにもバイブスが噛み合わないままで、やっぱりイロモノだったな、試し読みで終わりだな、と思いながら読んでいた。

途中、ゲーム内で大きめのバグを発見し、ゲームは強制終了。
そこからゲームが長期メンテナンスに入ったことでただのテストプレーヤーである一生はログインできなくなり、次に入れたのは一週間後。

「メンテナンス終了のお知らせ」が来て即ログインする一生。
「待たせてごめんね…」みたいな顔で一生を出迎えるキュービー。
再会を心から喜び合うふたり。

p.24/220

……あれ?
なに、この気持ち。

YouTubeにある「幼い頃に保護されたライオンと当時の飼育員が8年後に再会。遠くにいるライオンが飼育員の声を聞いた瞬間 一目散に駆け寄ってきてめちゃくちゃ愛おしそうに抱きついたり頬擦りしたりする動画」を観てるときのあの気持ち。

私、この子たちの友人関係にめちゃくちゃ情湧いてないか?
何?そのキュービーの満たされたような顔。
たまんないんですけど。



ノリが昭和なのにノリが令和

どこがBLやねんみたいな話になっていたが、ゲーム内のお助けAIだと思っていたキュービーに実は中の人がいて、天才ゲーム開発者かつ残念なイケメンということが判明。

そこから二人の恋路を見守っていく流れに変わるのだが、徐々に昭和の漫画と令和ギャルみたいなテイストが入り混じりだす。

片目を瞑る昭和…平成?
参考資料:ど根性ガエル


すきぴしか勝たん令和


昭和(平成?)のノリとやや古い令和ノリみたいなのが混在しながら独特のバイブスが形成されていき、中盤には残念なイケメンかつ腐男子の八尾という芝居がかったキャラが登場する。

八尾

なんか誰かを思い出させるノリだな、斉木楠雄のΨ難に出てきたキャラか?と思ったが、フルーツバスケットの草摩綾女だった。(斉木楠雄のΨ難にも出てきそうだけど)

草摩 綾女

綾女の方は割とメタな視点も持ってる感じのミュージカルなキャラだが、八尾はただのドラマチックで残念なイケメンの腐男子というキャラである。
ノリは似てるが性格は結構違う。

そんな感じで色々と大袈裟な描写がなされる中、メインキャラ同士がすんなり惹かれ合い、両片思いになり、ちょっとだけもだついた後にさらっとくっついて、あとは順当にバカップルになっていくというお話だ。

キャラの性格や振る舞いがファンタジーすぎて男性同士の恋愛という感じが薄いが、BLっぽい描写はちゃんとある。
しかし男とか女とかいうよりとにかく「バカップル感」が強い。



最近のギャグ漫画率

ここ数作、近年稀に見るほどにギャグベースの漫画ばかりが自分の中でヒットしている。
ギャグシーンが入ることはあっても基本シリアスめの作品ばっかりを好んで読んできたのですごく珍しい。

BL界でもギャグ漫画の割合が増えているのかたまたまそういうご縁だったのかは分からないが、こんなに楽しく読めるのなら大歓迎だ。

ちなみに本作をきっかけに同じ作家さんの「カスタマスカレード!」シリーズも読んでみたが、そちらはギャグ割合を保ちつつ意外とシリアスに人間関係の複雑さと怖さを描いてあり、救済ストーリーのあるバカップル(結局)の話になっている。

自分を偽り清楚系で通している粗雑で元引きこもりのコミュ障という設定なのに髪型がウルフカットな主人公(黒髪の方)と、過干渉でデリカシーのない父親のいるメタ認知できる系ストーカーの御曹司(茶髪の方)がメインキャラ。

作品数の多い作家さんのようで、もしかしたらシリアスな作品もあるのかもしれない。



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