Novelber/07:朗読
「ああ、麗しのガートルード。君の眼は宝石のように煌いて、私を魅了してやまない。君の声は私の知るどの楽器よりも美しい音色を奏でてみせる。君の指先は世界中の彫刻家を招いたとしても再現することは叶わないだろう。果たしてこれは創造の女神のいたずらだろうか、君を形作る全てが、霧の中に輝いて見えるのだ」
「……ネイト」
「どうかその眼を私に向けてくれないか。その声で私の名を呼んでくれないか。その手で私を招いてくれないか。君の輝きに浴する光栄を私に与えてはくれないか。そのためならば私は何でもしよう。君に出会うために私はこの時までを生きてきたのだから」
「ネイト。原稿をほっぽってそんなもの書いてたオレが悪かったです。だから、手紙を朗読するのだけはやめてください」
(鈍鱗通りの作家と編集者)
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