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掌編・短編小説

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五百から二千字程度の短い単発小説をまとめています。末尾記載の日付は初回公開日、日本語はタイトルの日本語訳です。
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2022年10月の記事一覧

le prince charmant

 アレクサンドルは久しぶりにこんな時間まで眠ったと、丸め込んで抱えた布団を退かし慣れた様…

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いまだほろよい

「どんな人だったんですか」 「“彼”かい?」 「そう、神父様。何度かお話ししたことはあるけ…

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迷子の末現在八代目

「君はいつも歩いてここに来ているのかい」  まだ慣れない紅茶の香りをふんふんと嗅ぎながら…

Le chaton dormait paisiblement à ce moment-là.

 まだ日が昇りすぐの頃、教会の広い廊下に重たい足音が二人分響く。朝のミサを控えた時間のせ…