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初夜

私の初夜は二十歳の時だった。

今まで二次元男性のイチャコラの事ばかりを考えすぎたせいで、
二十年間生きてきて三次元男性経験が一切なかった。

共学であったのにも関わらず男性経験に乏しい理由は、
身内内では大きな声で話し、
授業中はボソボソと喋るタイプの腐女子だったので
色々察してほしい。

成人し、就職をして地元から離れた私には友達がいない。
そして迫る二十歳。

今思えば焦らなくても全くいい事であるのに、
当時の私は二十歳にもなって経験人数ゼロの
彼氏もいたことがないという事実に焦り切っていた。

そうだ、マッチングアプリやろう。
京都へ行くような感覚で始めたアプリで出会ったのが、初めての彼氏となる。

その彼氏とはなんやかんやあり一年で破局に至ったのだが、
初夜はなかなか印象深かったのでここに書きたいと思う。

前置きが長かった。


最初に記載した通り私は腐女子で、
エロ同人の性知識しか待ち合わせていなかった。
よって本当の感じ方を知らない。
推しには散々やらせてきたが、自分自身には経験がないからどう反応していいかわからなかった。

胸や秘部を愛撫されても、正直くすぐったいしかない。
これは果たして正解なのか…..?
わからない、経験がないから知らない….

とりあえず「ンッ….」とか、「ァ…」とか、
散々推しに言わせてきた言葉を何となく演じていた。
(書きながらちいかわみたいだなと思った)

なんやかんやされ、いざ挿入の時へ。

やばい、演じることに夢中になりすぎて
全然緊張しない、初夜ってこんな感じなん
ドキドキ全くせんのやが。
気持ちよかったんかわからん、くすぐったいしかない、この後どうしたらええんやわからんわからんわからん。

迫る性器と性器、もう逃げられない。
私はそこで何かに乗っ取られたかのように覚醒した。

挿入した途端これでもかというほど大きな声で
「アァアッッ!!!♡♡♡」
「気持ちィッンンッ何これすごぉい♡♡♡」
とりあえず自身の知っているエロ同人で
発されていた言葉をこれでもかと連発してみた。

別に気持ち良くはない、リップサービスである。

私の中のどこかにいたAV女優と、
脳を侵食していたエロ同人が融合して大演技をし始めたのだ。

私の内部事情など知らない当時の彼氏は
幸い盛り上がってくれ、果てていった。

そして事後に一言。
「お前声大きすぎ…(ドヤ顔)」

そうか、あの音量だとデカすぎるのか。
初夜で学んだことは、
喘ぎ声の声量は張り切って大きくしすぎなくて良いということ。


これを読んでくれた貴方へ
ゴムはエチケット、忘れるなよな。

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