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花の諸相/擬く・ではない・象る
花の諸相/擬く・ではない・象る
青本瑞季
花位として薄い汽水の字は歌ふ
伸びる歯に花言のうつる虹びかり
木の退花塩のきらめく沼に浮き
花忘れ忌日ののちに張る皮膚も
蝋燭のこゑ花鹿のゐない橋
えれくとろにか千々の夜とて花構せよ
*
薄玻璃のふるへに亜木の保つ闇霧
火ざかりの夜を亜名に呼びかはす
*
俳句を書き、読む人にとっての共通の言葉としての季語。繰り返し使われて来たからこそ俳句におい
光る花期――Inspired by 長谷川白紙
光る花期――Inspired from 長谷川白紙
青本瑞季
長谷川白紙「ユニ」
鬼籍せず月日ぷらちなして冬は
長谷川白紙『エアにに』「ニュートラル」
繭しては裡へむかしの燃えつもる
花譜「蕾に雷」
銀光の花期を感電する皮膚は
長谷川白紙『夢の骨が襲いかかる‼︎』「シー・チェンジ」
somewhere nice,sometime,痛む潮が聞こえたら
長谷川白紙『
light like ghost
野に肺は白磁の波を吹きさらす
息だつた虹を着流す千々の花樹
のすたるじあ出会ふといかづちは燃えて
薄墨に吹かれて玻璃のみやこへ帆
light like ghost うたごゑかよふ玻璃と玻璃
身は莢で蚊帳のむかしはうつろして
夢の雹からだを深くぷらずまし
蹄して雨の鏡へ連れもどす
*
2句目と4句目の初出は好書好日のこの記事になります(https://book.asahi.com/article