見出し画像

アラサーのいとこが婚活を始めた件

 いとこが婚活を始めた。もうすぐ30歳になるのに、出会いが無くて焦っているという。男の人だから多少歳食っても問題ないんじゃ…と思う私だったが、彼は本気だった。早速、上司に紹介してもらった女性と会うことになったのである。
「上司の紹介って、断りづらいでしょ。よくやるわ」
「信頼できる人の紹介だから変な人は来ないさ」
信頼できると断言できるほどの人の下で働けるとは、幸せものである。私は彼に人生の先輩として次会ったときに感想を聞かせてくれとせがんだ。

 そして、それから3か月後。私は再び彼と会った。
「どうなんだよ兄弟」
ニやつきながら聞くと彼は言った。
「しっくりこなかった。味覚が合わなかった」
彼によると、中華料理屋で一緒にご飯を食べたときに麻婆豆腐が出てきた。
彼女は美味しいといったそうだが、彼にとってその麻婆豆腐は辛すぎた。

「気を遣って美味しいって言ったんじゃないの?」
「それはない。もし、そうだったとしても味の感想を正直に言えない人とは僕は結婚できない」
「あぁそう」
「やっぱり上司の紹介は怖いな。この前感想求められて正直に伝えたら怒られた」
私は思った。婚活の前に、思ったことをストレートに伝えすぎたり人を正面から信じ込んだりする性格を少しでも和らげた方が、人生上手くいくと思うぞ。

お読みいただきありがとうございました。頂いたご支援は執筆作業に行くカフェのコーヒー代として大切に使わせていただきます。