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エッセイ

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#ジムニー

悪路での走り|ジムニーSJ30までの道のり⑪(いったん最終回)

悪路での走り|ジムニーSJ30までの道のり⑪(いったん最終回)

🚙どこまでも入っていける車

ジムニーSJ30でたくたんの海岸や様々な地形を走って感じるのは、心強さと安心感でした。未舗装の砂浜や泥の道で、その地形にはまって動けなくなってしまう(スタックしてしまう)ことは一度もありませんでした。

これが、この車を売ってくれた店員さんが言っていた、「高速道路は苦手だけど、悪路では粘る」ということなのだと思います。歩く速さと力強さで止まらずに進める感じは、登山靴

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ジムニーとたくさんの海に行った|ジムニーSJ30までの道のり⑩

ジムニーとたくさんの海に行った|ジムニーSJ30までの道のり⑩

🚙あちこちの海に出かけた

ジムニーに乗って、毎週あちこちの海に出かけました。電車では時間がかかるため行けなかった所に行かれるのは、車ならではでした。

日帰りでは、カラッとした空気や空が大好きな外房や、砂浜でキラキラと虹色に光るシロギスが釣れる相模湾の砂浜。釣れる魚が少ない寒い時期には、真鶴半島の岩場からの投げ釣りでカワハギが釣れました。その場で皮を引いて、肝醤油にして食べました。港ではケーソ

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ジムニーを探しに行く|ジムニーSJ30までの道のり⑨

ジムニーを探しに行く|ジムニーSJ30までの道のり⑨

 当時、インターネットはまだ一般的ではありませんでしたので、車探しといえば雑誌『カーセンサー』(リクルート社)と、後から発行された『Goo』(プロト社)で、いずれもたしか100円だったと思います。格安なのは、おそらく中古車店からの掲載料で採算が取れるのでしょう。この100円の雑誌が相当楽しめるのでした。

 巻末には、掲載されている数万台の詳細な索引があります。メーカー名「スズキ」、車種「ジムニー

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快適な車と罠、ジムニーを買うかどうか|ジムニーSJ30までの道のり⑧

快適な車と罠、ジムニーを買うかどうか|ジムニーSJ30までの道のり⑧

🔷車は快適だった
 車を止めれば、どこでも寝られるのは、とても便利です。夜、雨の中でテントを張る必要がありません。自分のテントで何百泊もしていますので、真っ暗闇の中でテントを張るのはまったく問題ありません。ただ、雨の中でテントを張る作業は、冬は雨がとても冷たくて凍えるのです。テントの中に入ってしまえば、濡れることはないのですが。
 普通は、車の中は狭くて不便に感じるのでしょうが、私の比べる基準は

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テントで眠った海から帰る日 別れ|ジムニーSJ30までの道のり⑥

テントで眠った海から帰る日 別れ|ジムニーSJ30までの道のり⑥

目を開けて見上げるオレンジ色の天幕が明るくなったので、朝が来たのがわかりました。
空気が体温で温まるからなのか、風が入らず空気が止まっているせいなのか、テントの中では、真冬でもそれほど寒いとは感じることはありません。冬用の寝袋に入っていれば暖かく過ごせます。
テントの屋根と壁は、フライシートを含めて薄いナイロン2枚だけなのですが、外とは壁で隔てられた空間は、守られている感じがして、私は好きです。

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テントで見た夜の海と流れ星 ジムニーをまだ買えず電車で|ジムニーSJ30までの道のり⑤

テントで見た夜の海と流れ星 ジムニーをまだ買えず電車で|ジムニーSJ30までの道のり⑤

🔷週末に電車で出かける楽しみ
3月のまだ寒い日でした。土曜の朝、登山用のリュックにテントと寝袋と鍋と釣り道具を詰めて担ぎ、常磐線の鈍行に乗りました。電車の中では、リュックが倒れないように手すりにひもを掛けて留めて、そのあとは一週間の仕事の疲れで、何度も何度も居眠りをしました。座っているので、楽な姿勢ではないはずです。でも、体に遠く響く電車の走る音や揺れは気持ち良くて。車内の静かな人の気配には安心

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職場の車で合法的に運転練習そして運転の意味を考えた|ジムニーSJ30までの道のり④

職場の車で合法的に運転練習そして運転の意味を考えた|ジムニーSJ30までの道のり④

🔷職場の軽に乗りまくる

免許を取ってからはすぐに、用事を作っては、職場の軽バン「スバルサンバー スーパーチャージャー」に乗っていました。ハンドルが重めの車でしたが、教習所の車よりもはるかに車幅が狭く、運転席は高く、ボディの前が短く見切りがいいため、楽な気持ちで乗ることができました。

とにかく徹底的に乗りました。というのも、「免許を取ってすぐに乗らないと、運転感覚が体に定着していないから、感覚

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教習所に通ってみた|ジムニーSJ30への道のり③

教習所に通ってみた|ジムニーSJ30への道のり③

🔷教習所に通い始めた――通うのは大変、でも学科は面白い
仕事をしながらの教習は体がきつかったです。仕事が終わってから通うため、授業も運転教習も、疲れ切った夜に受けていました。当時、私は体力を使う仕事をしていましたので、夜には全身がぐったりと疲れていました。何とか気持ちを奮い立たせて、自転車で夜の教習所に向かうのでした。

「座学は退屈」とよく聞きますが、私にとってはどれも新鮮で面白いものでした。

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そうだ、教習所に通おう|ジムニーSJ30への道のり②

そうだ、教習所に通おう|ジムニーSJ30への道のり②

🔹とにかくジムニー!と思っていた

ジムニーに乗りたいと思っていましたが、実は私はまだ車の運転免許を持っていませんでした。

高校までの同級生は、大学時代に当たり前のように免許を取っていました。大学の推薦入学が決まっていた友人の中には、高校3年の在学中に免許をとる者もいました。先に彼らが大人の仲間入りをして、華やかな別の世界に行ってしまったように感じました。彼らには既に大学生活が保障されていると

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ワクワクをくれたクルマ | ジムニーSJ30への道のり①

ワクワクをくれたクルマ | ジムニーSJ30への道のり①

働き始めてからお金を貯めて免許を取って、初めて買ったクルマがジムニーSJ-30でした。赤色が色あせて煤けたレンガ色のような朱色になった、ブリキのオモチャみないな彼。まさにポンコツとかガラクタという言葉がぴったりのクルマで、とても気難しいヒトでした。でも、それがよく言われる「乗りこなしている」という支配ではなく、「つき合っている」という心持ちがして、愛着が育まれたクルマでした。ワクワクをくれた彼のこ

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