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生きたまま、眠り続ける。


先月初め。たまたま書店で見つけたこちらの写真集に心を掴まれ、即購入した。


『PYRAMIDEN』


かつて人々が暮らす世界最北の街であったピラミデン。
1991年のソビエト連邦崩壊後、徐々に人々が去り、世界最北の“ゴーストタウン”となった。
北極の自然の中にある、映画の撮影セットのような虚構めいた街並み。

これらの風景が収められた写真集に、心がぞくぞくした。
人々が暮らした痕跡が確かにあり、当時の様子を想像できる生活感も残っているのに、そこには誰もいない。
街の背後には壮大な氷河。
社会主義的な住宅群が立ち並ぶ異様な街並み。
学校、病院、工場など、役割を明確化された無骨な建物は、街全体が自己完結する回路のように理路整然と立ち並んでいる。

(上の説明は、写真集「PYRAMDIDEN」あとがきから、所々抜粋して書き直しています)



この神秘的かつ異様な光景(写真)を見てしまったら、物語が浮かばないわけない。

現実のようで夢のような世界観はそのまま「夢の中(異世界)」と設定。
登場人物は「女」「初老の男性」「少年」と、そこに迷い込んだ「私」。
「私」はこの世界の住人ではなく、夢と現実を行き来する……

このような長編小説を書きたかったのだけれど、どうにも話が進んでいかなくて、困っていた。
それでもピラミデンから受けた影響は形にしたいと、『AYA』を書いた。
アヤのいる夢の世界のイメージはピラミデン。
行ってみたいような行くのが怖いような。
そんな世界にぽつんと一人、誰かの訪れをただ待っている女。女はこの夢の世界から「動けない」。

物語のラストは、初めに用意していたものでなく、自然な流れで決まっていったが、今このあとがきのようなものを書いていて、ピラミデンとアヤが同じ運命にあることに気づいて驚いた。


「生きたまま、眠り続ける」


アヤは自ら決着をつけるために現実に戻ったが、ピラミデンは今も生きたままの姿で眠り続けている。




#あとがきのようなもの
#AYA

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