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スベり高等学校 (毎週ショートショートnote)

「残念ながら、ご縁がなかったということで。貴方にはスベってお帰りいただきます。それでは。3、2、1、どうぞ!」

校長は、俺のソリを蹴った。
ソリに腹ばいに寝て滑走するスケルトン競技のように、高等学校屋上から4階分の廊下を、大きな螺旋を描いて滑っていく。

「不合格を『スベる』とか言うなー!」

落ちただけでもショックなのに、見せしめに変なスーツを着させられて廊下を滑るんだ。

3階では、JKが哀れみの表情を浮かべて廊下の脇に立っていた。
そんな目で俺を見るな。
「舐めんな!」
ここぞとばかりにスピードをあげた。JKの横を通り過ぎると、俺の起こした風でJKのスカートは大きくめくれた。

「きゃあーーーー!」
JKが叫ぶ。振り返り「ざまあみろ!」と叫んでやった。しかし、JKは顔面蒼白で前を指さしている。

「えっ?」
前方に顔を戻した時には、俺の目の前に窓が迫っていた。
体制を崩してコースを外れてしまった俺は、勢いよく窓を割って外に飛び出した。


[完]


#毎週ショートショートnote
に参加させていただきます。
今週のお題【スベり】×【高等学校】で書きました。


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