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1日1本キュウリを買う女

もったいないから、という山根あきらさんの記事を拝読し、もったいない精神への共感を示すために、密かにお題をお借りして短い話を書きました。

すると、出来上がったものがあまりにくだらなく、noteの記事として発表することは躊躇われたため、下書きに保存。

だけど、それではもったいないじゃないかということで、勇気を出して載せることにしました。




1日1本キュウリを買う女


キュウリを見て嘆く女は、一体、どのくらい世の中にいるでしょうね。

私はキュウリなんて好きじゃない。

どんなに暑い、夏祭りの日にだって、棒に刺さったキュウリを、周りのノリに合わせて食べるような女じゃないの。

だけど今は違う。
このキュウリが、私の精神安定剤になってる。

スーパーで、たとえ1本150円で売られていたって、私は毎日、その1本にすがってレジに並ぶ。


叩き割るの。思い切り。
かじってやるのよ。思い切り!
捻り潰してやるんだわ。


今日はとびきり不細工なキュウリを手に入れた。
ムダにでかいこいつを、真っ二つにしてやるの。


毎日毎日、キュウリ🥒キュウリ🥒キュウリ🥒。


生産者に恨まれても怖くない。
私の話を聞いたら、誰だってキュウリを捧げたくなるわ🥒


わかってちょうだい。
言ったでしょう?
これは私の精神を落ち着かせる、唯一の方法なのよ。


私が


いつの日か


私を裏切ったあの男を、忘れることができるまで🥒🥒🥒



#小説
#短編小説






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