【短編小説】A rolling stone gathers no moss 第4話「four」
スマホ画面に映る少年は、目を丸くした。『なにこれ...テレビ?』と言いながら、涙と鼻水を日焼けした腕で拭う。
ティッシュで拭け、と思いつつ、井ノ坂は他人事に思えなかった。
少年は、幼い頃の井ノ坂そのものだった。首まわりが伸びたTシャツにも見覚えがある。小学校高学年の時によく着ていたものだ。
子どもの頃の動画を見ているようにも思えるが、井ノ坂が手を振ると、少年も手を振り返してきた。
極めつけは、背後に見える滑り台だ。井ノ坂のいる公園にも同じものがある。ただし、