わたしらしさってなんだろう。
『わたしらしい』
そんな言葉がここ何年か
私を苦しめていた
改めて考えると
わたしらしさなんて、はじめから
存在しないのかもしれない
だから
どこを探しても
どんなに探しても
『わたし』はどこにもいないんじゃないか
そんな風に思っていた
ふと、幼い頃を振り返ってみた
わたしは小さいころ
誰かになるのが好きだった
モノマネというより憑依する感覚
『あの人のようになりたい』
そう思うと
自然と話し方や仕草が
似てくるのだ
ずっと同じ人に
依存することはほとんどなく
いつもどこかの誰かになっていた
人の性格を
良い、悪い
という表現にするとすれば
不思議と良い部分しか
その人には似ない
それは
わたし以外の誰かが
うらやましくて
眩しい存在だったからかな
ちなみに
悪い部分はわたしのまま
小さい頃のわたしって
好奇心が
赴くままについて行くもんだから
友達との約束を
破ってしまってたりして
それが原因でハブられた時期もある
それに気付いたのはここ最近
そりゃ、怒るよねー友達
でも、そんなわたしも
いつしか『じぶん』って
存在に興味が出てきて
強く意識し始めたのは
確か、高校生になったタイミング
わたしが
中学時代寝ずに勉強し
見事入学した憧れの高校は
制服なし!
規則なし!
部活も入らなくていい。
の3拍子
(アルバイトは原則禁止だったような…。
まぁバリバリ働いてたけど。)
その頃から
世の若者たちが欲しがる
『自由』を手にしていた
アルバイトで稼いだお金で
好きな服を買い
好きな人たちと触れ
好きな時間に好きな場所に行く
そんな時間を過ごしていると
やってくる
『進路を考えるという時期』
『今』しか考えられなかったから
『未来』なんて描けない
たしか…
ワタシって
保育士になりたかったんだっけ?
でも家族や友達に
小さい頃から宣言してたから
『ならなきゃ』の義務感に
どこかモヤモヤする
結局
そんな気持ちを抱えたままじゃ
決められなくて
何者にもなりたくなくて
何者にもなれなくて
『フリーター』の道を選んだ
考える時間がきっと足りないのだと
そのときは思った
でも結局
『稼ぐ』→『好きなものに触れる』
の繰り返しにハマっていき
目の前のことに夢中だった
だから2年かけても
『この先の未来』を
決められなかった
そんな20歳を迎えたある日
母がわたしにこう言う
『正社員になって一度社会経験してみたら?』
親になった今は理解できる、母の言葉
心配する気持ちと
社会の『正しい道』に
進ませたかったんだろうな
当時のわたしは
母を尊敬してたから、素直に受け入れ
母の言ってくれたことに
従う決心をした
そこから就職活動をするも
なかなか決まらなくて
本当は
『料理』や『アパレル』の世界に
触れてみたかったけど
受かるまで、粘る気力も
好きの気持ちも続かなかった
だから一度『普通』になろうって思って
事務職に応募した
最初に訪れた会社で
採用されて
入社後は
目の前のことに懸命に取り組んだ
初めての環境が新鮮で
楽しいと感じていたのは
嘘じゃない
でもね、その時思ったんだ
『あぁ、わたしが消えてゆく』
でも、その気持ちに
無視しちゃったんだ
目を瞑っちゃったんだ
気付いたら
その気持ちにすら
気づかなくなった
そんなこんなで6年が過ぎ
わたしは母になった
子供は愛おしい
かけがえのない存在
でも常に
いっぱいいっぱいで
時間も余裕もなくて
じぶんより子供
じぶんより家族
いつも
『自分より、他の誰か』を優先にしてた
それしか
その状況を乗り越える方法が
見つからなかったから
気付いたら
『じぶん』消えてた
思い出そうとしても
なかなか出てこない
『じぶん』なんて
いつでも取り戻せると思ってた
『わたし』が『私』に
1番遠い存在になってしまっていた
そして、数年の月日が経った今
子育てが少し落ち着いて
疲れ切った心に気づき
働き方も変えた
もっと
『じぶん』に触れたくて
もっと
『じぶん』を大事にしてみたくて
ゆっくり時間をかけて
思い出している
『あぁ、わたしってこうだった』
そんな風に少しずつ
『わたし』を見つけて
拾い集めているところ
END
お役立ていただけたら幸いです