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破墓/パミョ 〜塩と馬の血かけまくり映画〜

映画ってやもすると「高尚な趣味」と受け取られがちですし、わたしも以前はそう思っていました。
けれど、昨年、Amazonプライムでせっせと映画を見ていた時期がありまして(どのくらい初心者かというと、X-MENとスタートレックをその時生まれて初めて観たくらいの映画初心者)映画って、すっごくいいところがあって……。

「迫ってこない」

んですね。映像の話ではなく、精神的な問題です。
映画(特に邦画以外)は、わたしたちに「判断を迫ってこない」んです。
現代人であるわたしたちは、日常生活で、大きなことから細々としたものまで判断を迫られてながら生きています。
何時に起きるか、何を食べるか、服はどうするのか。
ニーサは何を積み立てるか、住宅ローンは何年にするか、施工会社はどこにするか。
そんな中で、映画は何も迫ってこない。
観てればいい。しかも、なんでもいい。なんでも観てもいい。感想を持ってもいいし、持たなくてもいいし、つまらん映画にはつまらんと言ってもいいし、嫌いだったら嫌いでいい。
それなのに、観たあとは「映画を観たぞ!」という充足感がある。
いいですよね。

それで、わたしはホラー映画に耐性があります。
ゾンビも大丈夫です。むしろ好きな方なんですが、ただ、ゾンビは「今ゾンビウイルスがばら撒かれたら、子供を守りながら生き抜けるのか? 泣いたら襲われてしまうのに?」と深夜考えてしまうので、ちょっとよくない。

韓国映画は「新世界」しか観たことがないのに、観てきました、「破墓/パミョ」。

急に韓国ホラーに走るな!!!!!

……という感じなのですが、わたしは映画に対しての垣根がほとんどなく(邦画は苦手)、前情報も一切調べずに行くので、破墓に対しても「なんか呪われそう!」というイメージしか持たずに参戦しました。



初手の感想「……馬の血ってそんなに万能なの!?」

巫堂ファリム(キム・ゴウン)と弟子ボンギル(イ・ドヒョン)は、跡継ぎが代々謎の病気にかかるという奇妙な家族から、桁違いの報酬で依頼を受ける。すぐに、先祖の墓が原因だと気づき、お金の臭いを嗅ぎつけた風水師サンドク(チェ・ミンシク)と葬儀師ヨングン(ユ・ヘジン)も合流する。やがて、4人はお祓いと改葬を同時に行なうが、掘り返した墓には恐ろしい秘密が隠されていた・・・。

公式HPより


・ああ。この女の子と男の子がうんうん……巫女とそれの付き添いみたいな……
・いやそんな呪われることある? たかだか墓の位置が悪かっただけで? ええ? 死んだやつに意思はなかろうや(ここが文化の違い)
・ああ〜なんで蛇きっちゃうんだ……。
・ああ〜蓋を開けるやつ絶対やると思った。こういうやつがいないと話が進まない。
・出てきたやつすっごい元気。すっごい元気。現世の食べ物あんなに貪れるの本当に生命力を感じる。
・赤ちゃんが助かってホッとした。
・前半と後半でだいぶ話が違うので、二倍お得……といえばそうかも……!?
・韓国って本当に血の表現がどろりとして、赤黒く、噴き出し方が好き。

・……ああ〜だから一番最初の飛行機のシーンで、日本人と間違われるという一場面があったのね。
・でっけえ棺桶〜!
・こちらでは日本の陰陽といえば狐なんだ……。
・「幽霊は生きている人間の方が強いが、精霊は違う」面白い。なるほどね。
・鬼ってそういうイメージなんだ……。
・でっけえな! 日本人でその体格はあり得ないよ!
・追加の巫女のお姉さん、落ち着いていてかっこいい。


……色々思うところはあったのですが、「白馬の血」をあれだけ調達できる人脈ってなんなんですか!?
現代にそんなに馬、いるんですか!? 何匹か死んでない!? 大量でしたよ!?

とにかく「怨霊には馬の血!」という感じで(塩をふりかけまくっているのも面白かったです)、韓国で馬の血ってそんなに万能なんでしょうか?
調べてみました。

トッケビの民話の一つに、トッケビに好かれた寡婦がトッケビを遠ざけるため、トッケビが嫌いな馬の血を家のあちこちにまいて家に入れないようにしたという話がある。実はこの寡婦、トッケビにさんざん金銀財宝をもらって金持になったあげくにこんな仕打ちをしたので、トッケビは「女なんか信じられない」と叫びながら逃げていったそうだ。

https://www.tv-tokyo.co.jp/tokkebi/trivia/

トッケビ!? 何!?

……とにかく、馬の血が嫌い……ということなのでしょうか。
それが韓国の文化の前提としてあるなら、もはや調べても意味がないか……。
ああ、だから、「日本の鬼」に対しても馬の血が有効であったのは「日本の鬼≒トッケビ」ということなのでしょうか。
そこはちょっと違和感があって、日本から首を持ってきた武将の精霊だったら、日本的な解決方法が必要な気がするのですけれどね。
馬の血は日本では効かないでしょう。

火葬や土葬、風水、ムーダンと呼ばれるシャーマンの存在、先祖への畏敬の念、血のつながりの濃さ……
……
あんなに死霊が元気なことある?

異文化をとても感じた映画でした。

映画初心者のわたしに、映画の見方で勧められることは特にないのですが、「一切前情報を入れずに観る」のは、なかなか楽しいのでぜひやってみてください。
映画を観ながら、新鮮に驚愕しながら楽しめます。

ではまた!


佐原あおこ

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佐原あおこ
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