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視野が狭くなった時、どうしたらいい?【心理学】
どうも、あおきです。医学部でコミュニケーション教育と心理学教育を行っている研究者兼心理カウンセラーです。今日は「視野狭窄になったときどうする?」というテーマで話していきます。
何かに強くこだわりすぎたり、悩みすぎたりすると、他の物事が見えなくなることがありますよね。これを「視野狭窄」といいます。たとえば、試験前に「この問題が解けなかったら終わりだ」と思い込んでしまったり、仕事でミスをして「自分はダメだ」と決めつけてしまったりするような状況です。こういう状態になると、冷静に考えたり、他の選択肢を検討したりすることが難しくなります。なぜ、こんなふうに視野が狭くなってしまうのでしょうか。
まず、人間の脳は、ストレスを感じると危機に対処しようとする性質を持っています。これは進化の過程で生き残るために必要だった仕組みです。たとえば、昔の人間が森の中で猛獣に遭遇したとき、「どうやって逃げるか」に意識を集中しなければなりませんでした。そのため、脳は目の前の問題に全集中するモードに切り替わります。現代では猛獣に襲われることはほとんどありませんが、同じようにストレスを感じると、「今すぐ解決しなければならない問題」だけに意識が向いてしまい、他のことを考えられなくなります。これが、視野狭窄が起こる理由の一つです。
もう一つ、心理学的な観点でいうと、「認知のバイアス」が関係しています。特に、「確証バイアス」と呼ばれるものが影響することが多いです。確証バイアスとは、自分の考えや予測に合う情報ばかりを集めてしまい、それ以外の可能性を無視する傾向のことです。たとえば、「自分は仕事ができない」と思っていると、たまたま失敗したことだけを記憶し、成功したことを軽視するようになります。これによって「やっぱり自分はダメなんだ」と確信してしまい、視野がどんどん狭くなるんですね。
では、視野狭窄に陥ったとき、どうすればいいのでしょうか。一つの方法は、「意識的に視点をずらすこと」です。たとえば、問題を一度紙に書き出してみると、頭の中だけで考えていたときとは違う視点が見えてくることがあります。また、「他の人ならどう考えるか?」と想像するのも有効です。自分の考えに固執していると気づきにくいことでも、他の人の視点から見ることで、新しいアイデアや解決策が浮かぶことがあります。
もう一つの方法は、「一度、その場を離れること」です。視野狭窄が起こっているときは、脳がフル回転している状態なので、冷静な判断ができません。そんなときは、無理に考え続けるのではなく、散歩をしたり、軽い運動をしたりすることで、一度思考をリセットするのが効果的です。これは「認知的柔軟性」を高めるための方法の一つで、頭の切り替えをスムーズにすることができます。
また、「本当にその考え方しかないのか?」と問い直すのも重要です。視野狭窄に陥ると、思考の幅が狭くなり、「これしかない」と思い込みがちです。でも、実際には、どんな問題にも複数の見方があります。たとえば、「失敗したからダメだ」ではなく、「この失敗から何が学べるか?」と考えるだけでも、見えてくるものが変わります。問題の捉え方を変えることで、次の行動を選びやすくなるんですね。
視野が狭くなるのは、脳が目の前の問題に集中しすぎているサインでもあります。そんなときこそ、一度立ち止まって、「他の可能性はないか?」と考える習慣をつけることが大切です。視野を広げることができれば、問題に対してより柔軟に対応できるようになります。
みなさんのお役に立てればなによりです。
それでは最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!