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ウェルテル効果とパパゲーノ効果【自殺予防週間】

9月10日から16日は厚生労働省の「自殺予防週間」です。

自殺予防週間では、自殺について、誤解や偏見をなくし、正しい知識を普及啓発することをおこなうということで、わたしもその心に賛同しまして、情報を紹介していこうと思います。

本日は「メディアの報道と自殺がどのように関連しているか?」についてお話ししたいと思います。

現代社会でのメディアの影響は大きいですが、自殺に関する報道の影響は特に大きいといわれています。

ウェルテル効果とは、衝撃的な自殺報道を繰り返すことが、その後の自殺の増加との関係することが知られています。有名人の自殺に関するメディア報道によって、報道から 2 か月以内の自殺の 8 ~ 18% 増加させるともいわれています。

ガイドラインによって報道内容に一定の決まりが設けられていますが、SNSなどを通じて情報が拡散されてしまう場合が多くあります。

一方、ウェルテル効果は、自殺の危機を克服した物語を語ることなどは、死にたい気持ちをやわらげることで、自死を減らす可能性があります。

ウェルテル効果についての研究からどんなことがわかっているのでしょうか?今日の記事では「ウェルテル効果によって死にたい気持ちがやわらぐか?」についての研究をまとめたレビュー論文をご紹介します。

7,347 件の論文のうち、25 件の論文を対象としました。研究に参加した人数は2,350 人でした。

研究の結果をまとめると、ウェルテル効果についての介入が行われた人は、介入が行われなかった人と比べて、わずかながらも統計学的に死にたい気持ちがやわらぐということがわかりました (95% 信頼区間 -0.39 から -0.04)。

わたしたちはメディアそのものではないので、メディアが報道する内容を変えることはできません。しかし、そのメディア記事に対しての反応を変えることができます。

自殺報道についてのSNSでの拡散を控えたり、危機を乗り越えた経験を伝えたりすることが、周囲の方の死にたい気持ちをやわらげることにもつながるかもしれません。

それでは、最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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筆者 あおきしゅんたろうは福島県立医科大学で大学教員をしています。大学では医療コミュニケーションについての医学教育を担当しており、臨床心理士・公認心理師として認知行動療法を専門に活動しています。この記事は、所属機関を代表する意見ではなく、あくまで僕自身の考えや研究エビデンスを基に書いています。

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