陸上経験なし35歳の社会人芸人が1年半トレーニングを積んでマラソンでサブ3を達成した話(その5 練習・後編)
お世話になっております。社会人芸人たまプラーンのアオキプランです。
1 はじめに
私は、普段は公務員として働きながら、社会人お笑い芸人として休みの日に舞台に立つなど活動をしています。また、私の趣味の一つにランニングがあるのですが、2023年4月23日(日)に行われた長野マラソン2023に出場し、グロスタイム2時間58分57秒で完走して「サブ3」を達成することができました。
サブ3は「市民ランナーの夢」とも言われており、多くの市民ランナーが目指している目標です。私は、陸上経験のないどこにでもいるおじさんですが、マラソンの練習を始めてから1年半でサブ3を達成することができました。この記事は、サブ3を目指している方の参考に少しでもなればと思い書いています。ぜひ、関連記事と併せてご覧ください。
前回記事(マラソンの練習・中編)↓
2 練習のフェーズ
元々、筋トレとランニングの習慣があり、フルマラソンも2019年に完走したこともありましたが、ランニング一本でトレーニングを始めたのは2021年10月でした。2021年10月にはサブ345相当の走力はあったかと思いますが、そこから1年半トレーニングを重ね2023年4月にサブ3を達成できました。
1年半の練習のフェーズを分けるとこんな感じになります。
(0) ハーフのペース走+筋トレ期(2021年10月~2023年3月)
(1) 練習バリエーション習得期(2022年4月~6月)
(2) スピード強化期(2022年7月~10月)
(3) 閾値強化期(2022年11月~2023年1月)
(4) スタミナ強化期(2023年2月~3月)
最初の半年間(フェーズ0)は、ランニングに関する知識がない状態でハーフのペース走と筋トレだけを行っていましたが、2023年3月にはサブ310を達成できました。その後の半年間(フェーズ1~2)は、ランニングの知識や練習のバリエーションを増やしながら、スピード強化に取り組み、トラックのレースで1500mを4分43秒、5000mを17分50秒でゴールすることができました。
これくらいのタイミングで、目標レースを2023年4月の長野マラソンに決めました。選んだ理由は、3月に河川敷のマラソン大会に出ようと思っていたので、疲労が抜けた4月に開催される公認の大会であることと、私が長野県出身で小さい頃から長野市にはよく遊びに行っていたので、ゆかりのある土地を走りたかったからです。
また、せっかくスピードを身に付けたので、毎年1月下旬に開催される市民駅伝で区間賞を獲るということも目標にしました。
ということで、2022年11月~2023年1月は閾値強化期(フェーズ3)、2023年2月~3月はスタミナ強化期(フェーズ4)として練習に取り組みましたので、私が実際に行った練習内容と意識していたことについて紹介させていただきます。
オススメの練習方法は別の記事で書こうと思いますので、これくらいの練習をこなせたらサブ3を達成できる可能性が高いくらいに捉えていただけると良いかと思います。また、ランニングの専門用語が出てきますが、この記事を読んでくださる方は、ランニングの知識があると考えていますので、細かい省略させていただきますがご容赦ください。
3 肉体改造に50万円
さて、前回記事の最後に「50万円をかけて肉体改造を行った」と書きましたので、まずはそちらについて触れたいと思います。
何を行ったかというと、レーシック手術です。
私は近視が強く(手術前の視力は0.1未満)、普段は2週間使い捨てのコンタクトレンズをしていましたが、コンタクトをしたままのランニングって、すごくストレスになりませんか?日焼け止めが混じった汗やシャワーのお湯が目の中に入ると、一日中目の中がゴロゴロしている気がしました。ランニング中に目の中に虫が入ってしまったら最悪です。何より付け外ししている時間がもったいないです。コンタクトに向き合う時間が毎日4分あれば、毎日1㎞多く走れます。
ということで、2022年11月下旬にレーシック手術を行い、近視が改善されました。その後、特にトラブルもなく半年以上過ごしており、ランニング中に汗が目に入ることはありますが、コンタクトをしているときほどストレスにはなりません。
弊害といえば、検査や手術のためにその前後1週間はコンタクトができないので、その間走れなかったことくらいです。足元が不安だったので、眼鏡では走りませんでした。ワクチン接種なども重なり、2023年11月の走行距離は65kmに落ち込んでしまいましたが、遠征時にコンタクト用品を持っていく必要もなくなりましたし、メリットの方が明らかに多かったです。
近視やコンタクトにお悩みの方は、参考までに。
4 閾値強化期
2022年11月初旬のトラックレースが終わった後は、フルマラソンに向けてスタミナを強化したいと思っていたのですが、2023年1月下旬にある市民大会でも良い記録を出したいと思い、まずは閾値(スピード持久力)を鍛えることにしました。サブ3に向けては、スピード→閾値→スタミナの順番で鍛えるというネット記事を読んだので、ちょうど良いと考えました。
主に取り組んだポイント練習は、疾走距離を長めに設定するクルーズインターバルとその名のとおりの閾値走の2つでした。
(1) クルーズインターバル2km3本
設定例7分40秒(3分50秒/㎞)、レスト1分30秒
(2) 閾値走6km
設定例22分30秒(3分45秒/㎞)
インターバル走は、一人で取り組んでいると、距離が長いほどペースやフォームがぶれてしまうので、2㎞のクルーズインターバルでは最大限の効果を得ることができなかったと思います。閾値走は、サブ3達成に求められるレベル(概ね5kmを20分)よりも少し速いペースですが、最大心拍数の85~90%で20分走るのが理想ということで、一人でもその心拍数(170前後)で走れたのは自信になりました。
両方とも閾値を向上させるのに効果のある練習だと思いますが、一人で走るのであれば閾値走をお勧めします。サブ3達成のためには、5kmを20分で走れるのは最低限で、最大心拍数が85~90%となるのが理想です。心拍数の計れるGPSを付けて挑戦してみてください。
5 市民駅伝の結果
私のプロフィール記事のリンクでも紹介をさせていただきましたが、普段は東京都調布市役所で働いています。
調布市では毎年1月下旬に、調布市在住、在勤、在学の方が出場できる調布市民駅伝が開催されています。市役所の職員がチームを組んで何組も出場しており、私がランニングを始めたのも、職場の人に市民駅伝に誘われたのがきっかけでした。
2023年大会は、男女混成のミックスの部(1区間3㎞)と高校生以上の男性編成の一般男子の部(1区8㎞、その他4㎞)に出場することができました。一般男子の部には、地元の大学の陸上部も出場するので、区間賞を獲るのは難しいのですが、ミックスの部は「エンジョイ」という感じなので、今年は大人げなく区間賞を狙いにいきました。
目標タイムは、ミックスの部3㎞を10分(3分20秒/km)、2時間後に出走の一般男子の部4㎞を14分(3分30秒/km)にしていました。区間賞の目安は、ミックスの部が11分、一般男子の部が13分~13分30秒です。
結果は、ミックスの部3㎞が10分17秒(3分26秒/㎞)で区間賞、一般男子の部4㎞が14分23秒(3分36秒/km)で区間4位でした。目標タイムには及びませんでしたが、ミックスの部では区間賞を獲ることができたので、閾値強化期もそれなりに成果があったと思います。
6 スタミナ強化期
サブ3に求められるレベルのスピードと閾値は身に付いたということで、2023年2月からはスタミナ強化に取り組みました。この時期は、とにかくハーフと30㎞のペース走を毎週末やっていました。
(1) ハーフペース走
練習ベスト1時間26分(4分05秒/㎞)
(2) 30㎞ペース走
練習ベスト2時間05分(4分09秒/㎞)
Mペース(4分16秒/㎞)で30㎞走ができれば、サブ3達成レベルと一般的には言われていますが、スピードタイプの私は、本番ではポジティブスプリットのレース展開が良いだろう考えていたので、ロング走の設定ペースを4分10秒/kmにしていました。
ただ、30㎞ペース走をMペースでこなすのは、身体へのダメージが大きいので、本番前の実力試しとして1回しかしておらず、その他の時は設定ペースを4分30秒/㎞にしていました。Mペースで30㎞走をするときは、本番と同じくらいにコンディションを整えて挑戦してください。
また、サブ310達成前にもハーフのペース走に取り組んでいましたが、その時と意識していたことは変わらず、①信号のない周回コースを走ること、②水とエナジージェルを身に付けて給水・給食をすることでした。
私は1周3㎞ちょうどの周回コースを発見し、ハーフなら7週、30㎞なら10週走っていました。この、3㎞ちょうどというのがミソで、距離感覚を身に付けるのにとても良かったです。長野マラソン本番でも35㎞過ぎて脚が重くなった時に、「いつものコースをあと2周じゃん!」と普段のコースをイメージし、1㎞走るごとに「今、いつものコースのここだから、あとこれだけじゃん!」(とても分かりにくい)と自分に言い聞かせながら、走り続けることができました。
また、本番よりも重装備で、沿道の応援もない中で、この設定タイムをこなすことは自信になりましたし、ハーフくらいの距離なら走り終わった後でも、それほど疲労感はありませんでした。閾値走6㎞のペース(3分45秒/㎞)よりも、ペースは落ちるので余裕があったのだと思います。
サブ3達成のためには、レースペースでハーフ以上の距離を走れることは必須です。その中でも、意識して取り組んだことを紹介させていただきました。ぜひ参考にしてください。
7 朝ラン改革
前回記事で、2022年7月くらいから朝ラン(起床後、朝食前に40分走る)の習慣を付けたと書きましたが、2023年1月くらいからは朝ランの取り組み方を少し変えました。
(1) 疲労回復+減量ラン6km
設定例6分30秒/km
低強度の朝ランとして取り組んでいた7㎞(6分/㎞)を、6㎞(6分30秒/㎞)に変更しました。理由としては、週末のポイント練習や下記朝ラン(2)の強度が高くなったので、よりゆっくり走って疲労回復効果を狙いました。また、減量効果があると言われている、最大心拍数の60~70%(心拍数130前後)になるように気を付けていたらこれくらいのペースになりましたが、走る日によってペースは上下しました。
(2) Mペース走9km
設定例4分00秒~4分15秒/km
高強度の朝ランが、Eペース(4分30秒~4分45秒/km)で8㎞だったのが、Mペース(4分00秒~4分15秒/km)で9㎞に変わりました。この頃は特に意識していなくても最初の1kmが4分20秒くらいになり、身体が温まってくるともっとペースが上がり、平均してMペースを下回らないよう9㎞を走るようにしていました。
寝起きの状態でもMペースで9㎞走れるというのは、本番を迎えるにあたって自信になりましたし、疲労回復+減量を目的にゆっくり走っても良いとポジティブに考えられたのは、冬の真っ暗な中、朝ランを継続するために良かったと思います。
8 おわりに
以上が、2022年11月から2023年3月までの練習内容です。
3回にわたり、私が実際に行っていた練習内容の紹介をさせていただきましたが、スピード→閾値→スタミナの順に重点を置いて練習したことは良かったと思います。スピード→閾値→スタミナで、それぞれサブ3達成の目安となるタイムがありますが、一つずつクリアすることもできました。
フルマラソンでサブ3を達成できるかどうかは、実際にレースを迎えてみないと分かりません。特に私はランニング初心者だったので、「こんな練習で大丈夫か?」といつも疑問に思っていましたが、目安のタイムを一つずつクリアすることが自信になりました。
たびたび「自信になりました」と書いていますが、「自信を持つ」というのはランニングを継続するためにも重要で、「自分のやっていることは正しいんだ」とメンタルを維持してくれます。
特に、短期間でサブ3を達成したい方や、サブ3に何度も本気で挑戦されている方ほど、メンタルの維持が難しくなると思いますが、サブ3達成の目安のタイムがいくつかありますので、自分の得意なものから一つずつクリアして自信を付けていきましょう。
私が練習の中で出せたタイムは、サブ3達成の目安より少し速いかもしれませんが、この練習をこなせていたら、サブ3を達成できる可能性が高いと考えていただいて結構だと思います。
次回からは、いよいよ長野マラソン2023のレースに関する記事を書かせていただきます。実は、2023年3月19日の府中多摩川風の道マラソンを2時間59分23秒(グロスタイム)で完走し、この時点で既にサブ3を達成していますが、まずは「長野マラソン1週間前の調整」についてです。
「長野マラソンの前にサブ3達成しているじゃん!サラっと何書いているんだ!」と思われた方もいらっしゃると思いますが、やはり市民ランナーたるもの公認レースで達成してこそサブ3ランナーを名乗れるということで、万全に調整をして長野マラソン2023に臨みましたので、是非最後までお付き合いください。
それでは、次回もよろしくお願いします。
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