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ワンオペ育児をガマンして愛することを諦めたくない

男性の育休についていろんな意見が連日飛び交っている。
その中でも
「男性が育休を取ったところで使えない子供が1人増えるだけ」
「実家に頼った方がよっぽどいい」
などと言う声も外野からや母親から聞く。
夫婦で納得いくまで話しあって決めたこと、ならよその家庭に文句は言わない。
ただ世間一般の声として「女性は皆こう思っている」と育休を取るために頑張っている男性や未来のパパの出鼻を挫くようなことはどうかなと思う。

男性の育休で必要なのは子育ての物理的なサポートだけじゃない。
むしろ、物理的なサポートはどんどん外注したら良いと思う。いまは時短家電や便利な宅配食もたくさんある。
男性が育休を取る最大の目的は、ママと同じ目線に限りなく近づくことなのではないだろうか。
夜中に泣き出す赤ちゃんを一緒にあやす。
なんで泣き止まないんだろうと一緒に悩む。初めてのお風呂に一緒に恐る恐る入れる。
小さな命が自分たちの手に委ねられていると言うプレッシャー。
孤独感も2人なら解消できる。
育児のスタートアップを一緒に作り、乗り越えていくことで得られるチーム感は今後子供を育てていく上で大事な宝物になる。

それは、他の誰でもない、子供の父親でもある大事なパートナーとじゃないと意味がない。
当事者として関わっていい権利があるのはパパとママだけだし、ママが当事者として思いきり気持ちを吐露できるのもパパだけだ。
それを他人ごとのようにあしらってしまったら、ママは誰とこの大変さや幸せを心から分かち合えるんだろう。

何人目でも、子育てにいくらママが慣れていても、その当事者意識を放棄していいわけじゃない。

我が家は基本生まれた時からワンオペ育児だけど、離れていてもどうしたらこの子がいる大変さやそれに付随する幸せを分かち合えるかを考えてきた。

産まれて数ヶ月が経った頃、夫が行くはずだった出張に
「あなたがそれに行くと言うなら私は自分の存在価値がわからなくなると思う」
と言った。

痛切な叫びだったと思う。
それはお互いが傷ついた。
どうして自分の仕事の邪魔をするのだと彼は思っていたと思うし、なぜ私たちより仕事を優先するのかと私は思っていた。
結果、彼は出張を断りその間そばにいてくれた。
その行動が無かったら私は事あるごとにその事を持ち出して恨んでいたかもしれない。
それくらい切羽詰まっていたし、彼が私に対する愛情自体を問われる出来事だった。
このくらいまで言わないと追い詰められていることはわからないのだ。
それに気付いてから、彼は変わったと思う。

今でもその出張を放棄したことを仲間にちゃかされる事もあるみたいだけれど、家族が家族でいられなくなることの方がもっと後悔するのではないか。

分かってもらえなかったら分かってもらえるまで伝え続ける事を、子供が産まれる前からお互いやってきた。
理解した上での行動は相手に委ねるにせよ、それでもあきらかに相手に寄り添った答えを示してきたと思う(そして思い出せば彼が折れることの方がきっと多い気がする…そう思うと改めて感謝の気持ちが生まれる)

私が文句を言いまくっても、私に対して
「何も不満はない」
「何をしても愛しているよ」
という彼の言葉に、私は変えて欲しいことは山ほどあるのにすごいなと思う。
それくらい単純で純粋だけど、察することができないのが男性なのかもしれない。
女性は
「これくらい何で察してくれないの」
「こうしてくれたらいいのに」
そう言った言葉を飲み込んでガマンして結果三行半を叩きつけるか、諦めるか、になっていないだろうか。

私は言いたい事を言わないで諦めるのは、相手を愛する事をやめるのと同じだと思っている。
愛する事を諦めないために、こうしてくれたら嬉しいは言い続けると思う。
言ったあと彼が改善してくれたら嬉しいし、それが難しい改善でも毎回「努力するね」という彼を信じているし、たとえそれが守られなかったとしてもその言葉に安心している。
そう言った一連のやり取りそのものがお互いの愛情確認かもしれない。

相変わらずワンオペ状態なのは変わらないけど、彼がその状態を変えようとしてくれているのがわかるからこそ、私も出来る限り子供の写真や動画を送り、子どもにはパパの写真を毎日見せ、今日はこんな事があったと報告し、子供の成長を共有している。
(おかげで子どもは殆ど会っていないパパが大好きである)

でも、はなからそれを言わないで
「どうせ役に立たないから、使えないから」
と取っても構わない環境なのに育休自体を否定してしまうのはどうだろうか。
それははなから育児の世界に男性を入れない、排除すると言う意思表示にならないだろうか。
それは今まで男性社会で虐げられてきた女性の扱いと何も変わらない。

ようこそ育児の世界へ。
仕事も大変だし楽しいかもしれないけど、こっちも大変だし楽しいよ。
そんな風にお互いの領域を少しずつ広げていき、お互いを理解する努力を忘れないのが大事なのかもしれない。

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