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「アイスブレイク・ベスト50」はこんな本です/重版出来

みなさん、こんにちは。淡路島在住のファシリテーター・青木マーキーです。朝起きて原稿を書いていると、さかりのついた猫ちゃんたちが窓の外で大騒ぎしている2024年3月3日ひなまつりの日です。いかがお過ごしでしょうか。

先日、編集者の小林さんからこんなメールが届きました。おお、グッドニュースじゃないか! 僕の2冊目の著書『アイスブレイク ベスト50』に重版がかかったそうです。2013年、ファシリテーター事務所を立ち上げて10年目で出した本。10年かかって、ぼちぼちと売れ10刷目に突入です。いやぁ、なんだか、うれしいなぁ。

仕事が出来る人はメールのタイトルを書くのも上手だ

アイスブレイクってなんだ?


せっかくの重版なので、どんな本なのか、当時のエピソードもまじえて、ちょっと紹介してみようと思います。この本は、会議やワークショップ、学びの場などにおいて使えるアイスブレイクを50種類紹介した本です。

初めましての人が集ったときにある独特の緊張感を「アイス」と捉え、それを一気に砕く「ブレイク」する工夫や遊びを、アイスブレイクといいます。ファシリテーションや場づくりをする人たちが使う専門用語ですね。
僕が大学生のころ、だから1995年にアメリカで初めてプロのファシリテーターに出会って、この仕事を志すことになったのですが、そのときのアイスブレイク体験は、隣に立った人の頬にキスをして、そのキスを円になったメンバーでまわしてゆく、という衝撃的なものでした。「おー、アメリカではこんな風に緊張をほぐす工夫をしてから、会議を始めるのね。これがアイスブレイクか!」と驚いた記憶があります。
で、帰国して、アメリカ風のアイスブレイクを日本中の学生団体に向けにバンバン展開していったのですが、やればやるほど「アメリカ人にはウケても、日本人にはウケない」という現実にぶつかるのでした(笑)。そりゃそうか。アメリカで教わったキスゲームというアイスブレイクは、日本人にはハードル高かったそうです。

で、日本人にフィットしたアイスブレイクをもうちょっと勉強しなきゃなぁと思って開催したワークショップが「アイスブレイク100連発!」という企画。環境教育、福祉、まちづくり、ビジネス、国際交流、チームビルディングといった、色々な分野のファシリテーター仲間に集まってもらって「こんなアイスブレイクやってるよ」というのを見せ合う、体験しあう時間でした。20名ほどの参加者が朝から晩までつぎつぎとアイスブレイクを繰り出してゆくなかで、僕は「あぁ、アイスブレイクの勘所って、このへんか」というのを体で覚えてゆくことになります。で、そのなかでも自分が実践してみて、使い勝手がいいなと当時感じた50種類のアイスブレイクを文章に書き起こしたのが、この本「アイスブレイク ベスト50」というわけです。

目次はこんな感じ


アイスブレイクの王道・じゃんけんからはじまり、自己紹介の時に使えるアイスブレイク、グループ分けにも応用できるアイスブレイク、眠気覚ましにちょうどいいアイスブレイク、チームビルディングや新しい視点の獲得に使えるアイスブレイク等を紹介しています。

アイスブレイクの王道・じゃんけんだけで6種類のアイスブレイクを紹介しています

じゃんけんひとつとっても、それをどうアイスブレイクとして活用するかは、ファシリテーターの腕の見せ所ですね。僕はいろんな分野のファシリテーターに教わったので、とても勉強になりました。例えば自然案内ガイドやインタープリターの皆さんがやっている「葉っぱじゃんけん」とかは、とても面白い。森の中をぶらっと散歩して、「ここに落ちている落ち葉でじゃんけんしてみましょう」とやるだけで、参加者は足下の落ち葉をよく観察し、ひろいあげ、それを愛でることができます。人と自然との距離を縮めながら、参加者同士の交流を深める素晴らしいアイスブレイクと思います。これは教わって本当によかった。

森のなかでもできるアイスブレイク「葉っぱじゃんけん」は24ページに収録

飴ちゃんも使える


当時大好きだったアイスブレイクの代表格としては「飴ちゃんグループ分け」をよく活用させてもらいました。「まぁ、どうぞ飴ちゃんでもなめて下さい」と皆に好きな飴をとってもらうのだけど、実はそれを使ってグループ分けをする、というただ単純な構造。でも、イチゴ飴グループとか、きんかん飴チームとか出来ていくなかで、だんだん仲良くなっていったり、会話が弾んだりする様子を見るのが好きです。

あらかじめ色々な色味・味の飴ちゃんを買いそろえておくのも楽しい準備

「みんな元気?」を確認して場をひらく

あと、これは先日「いのちの電話」という団体の会議進行をお手伝いしたときのこと。部屋に入ると「あれ、なんか元気がないぞ」と感じたのです。2回連続の会議の2回目で、初回に感じたメンバーのハツラツとした様子や無駄口がない。「どうしたのかな?」と思って「みなさんの、元気度をちょっとチェックしましょうか」とこのアイスブレイクをやると、多くの人は50点前後かそれ以下というありさま。お話しを伺うと先週おおきなシンポジウムをやりとげて、皆、心身ともに疲れているようです。僕は予定していたプログラムを大きくかえて、お互いの体をほぐし、いたわりの言葉をかけあうワークを挿入することにしました。たっぷり体をうごかし、血行をよくして、いわたりあった上で、会議の本題に入り直すことにしたのです。

みんながどよーんとしている雰囲気を感じ取ったらよくこれをやる

前菜あるいは問診


アイスブレイクというのは、軽い技にみられがちですが、僕からみるととても奥の深いものです。その集団をどのように捉えるか、そして「いま、この集団に必要な時間とはなにか?」をあぶりだし、それらを提供するながれで、だんだん本題に入ってゆく。コース料理で言うところの「前菜」、病院でいうところのお医者さんの「問診」にあたる部分で、極めて重要と考えます。

みなさんも病院にいって、お医者さんがろくに患者の話もきかずに薬を処方されたら不安になりませんか? 「あー、このお医者さんは、私の症状や体質のことを、ちゃんと理解してくれているな」と感じてから、お薬なり処置をしてださることで、患者は安心するのだと思います。

僕は、アイスブレイク部分にファシリテーションで使う体力に50%ぐらいを投入することも、よくあります。自動車などと同じで、始めの動き出しに労力を要し、動き始めたら,軽くアクセルを踏んでハンドルを調整するだけで、快適なドライブを楽しめるようにファシリテーションをしていると感じます。
そういう意味でも、使い勝手のよいアイスブレイクをいくつか知っていて、集団の様子を見ながら、必要なものだけを選んで、展開していく力量がファシリテーターに求められていると思います。

使いようがないアイスブレイクも

ま、実際のところ、この「アイスブレイク ベスト50」のなかにも、今の僕なら絶対に使わないなぁとお蔵入りしたアイスブレイクがいくつも収録されています。皆さんも読んでいただくとわかると思いますが「あー、これは自分には無理だ」とか「うちの現場では使いようがないな」と思うアイスブレイクも、いくつかあるでしょう。いや、むしろ「これは使える!」とビビっとくるのは50種類のうち、1-2つなのかもしれません。でも、たくさんある種類を俯瞰して、使いようがないアイスブレイクにも出会い、そのなかから、自分に本当に必要な道具を手元に置いておくという意味で、この本を手に取って頂く意味はあるかな、と感じます。10年にわたって10刷りを重ねて売れ続けている理由もその辺かもしれません。

というわけで、自分が10年前に書いた本の紹介でした。書籍というのは自分の過去の分身のようなところがあります。皆様どうぞ、ごひいきに。ご購入・紹介・書評など頂ければと思います。https://amzn.to/49Xre1y

また、兄弟本で、オンライン会議で使えるアイスブレイクを50種類紹介したこちらの本も、よかったらあわせてどうぞ。『オンラインでもアイスブレイク・ベスト50』はコロナ禍でもだえ苦しみながら出版した僕にとってはかわいい一冊です。そして、この2冊を持っていると、とりあえず「アイスブレイクが100種類」手元にある、という状態をつくれます。それだけで満足するタイプの人っているよね(あ、これ自分ですね)。


アイスブレイク100連発 

というわけで、久しぶりにアイスブレイク100連発という懐かしのワークショップを復活させてみようと思います。10刷記念で復活ライブみたいなやつですね。

いっしょに開催して下さる方、いるでしょうか。会場おさえ、参加者集め、参加者受付、会計まわりをおまかせするので、やって下さる方がいたらうれしいな。あと誰か板書係がいるのも心強い。色々な分野のファシリテーターが集い、ともに技を交わし合う時間になればと思います。そして、夜はビールでも飲みながら「アイスブレイクって、実はこういうことだと思う」というのを語りましょう。
開催はリアル。場所は日本全国あるいは世界のどこでもOK。朝10-18時ぐらいの1日ワークか、1泊2日ぐらいの長さで、15〜20名規模の開催をイメージしています。開催に係わって下さる方、やるなら参加したい方いらしたら、お声かけてください。それでは皆様、よいひなまつりをお楽しみ下さ〜い。

我が家のおひなさまとカレンダー。土台にあるのは義父の瓦ですね

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