大学デビューis通過儀礼
誰しも通る道だ。
人生の夏休みとも呼ばれるこの4年。
私たちは「自由」の偉大さに感謝しつつも、どこか不安を抱えていた。
授業、服装、人間関係、なんでも自由だ。
形ばかりのクラスはあるものの、クラスメイトの名前と顔は卒業するまで一致しない。
せいぜい、「髪が赤いやつ」「Macにステッカーベタベタ貼っているやつ」くらいな印象だろうか。
大学は自分を変える数少ないターニングポイントだ。
そんな大学生活では一種の通過儀礼のように「大学デビュー」が多発する。
何を隠そう、私もその類であった。
高校では禁止されていたツーブロックを披露し、ついでにワックスデビューもする。この程度ではあったが、中高6年間ハゲ頭で過ごした私に取っては、一大イベントだったのだ。
しかし当時の写真を見るとワックスはグチャグチャで、よくこんな頭で女の子に話しかけていたと思う。ろくに知らないファッションについて語っていた。今すぐに記憶から抹消したい。
しかし、これが「大学デビュー」なのだ。
他の事例も話そう。
私の友人の山岡は高校まで柔道部。丸刈りに毛が生えた程度のヘアースタイル。筋肉と脂肪どちらもギッチリ着込んだ100kgの巨漢であった。
彼は初日のガイダンスでは、ジャージにメガネ。この時点でも「逆デビュー??」感あったが、次の日彼は大変貌を遂げた。
まず、髪が赤くなっていた。
「赤い芝生」と私は心の中でネーミングした。神宮球場の内野エリアにいそうだった。
次に、革ジャンと尖った革靴、そして、なぜかパンツは真っ赤なスウェット。さらにクラッチバック。もうよくわからない。
変な福袋でも買ったのかと思った。
当時2018年、この類のファッションが流行していたという記憶はない。少なくとも「オシャレ」ではなかったはずだ。
ただ、当時の私は彼のことを馬鹿にしつつもどこか羨ましかった。
「個性的だぁぁぁ。。。。」
個性的になりたい願望が、大学デビューに大きく寄与しているのは否定できない。
規則でがんじがらめにされた小中高校時代、個性を求められる就職活動。
この2つの間にある大学生活というモラトリアムで、我々は「個性」になることに強烈に憧れ、また、ある種の義務感さえ感じていた。
個性的になりたい。
個性的になったらすごいやつだと思われる。
個性的になったら、モテそうだ。
溜め込んできた「「おれ」」を見よ!!
オシャレとかよくわからないけど髪をカラフルにしたり、奇抜な言動をしよう。そしたら「個性」ゲットだ。ついに「個性的」になれる!!
個性的になったら、就活で有利だ。
企業は個性を求める。ガクチカだ。みんながしないことを、個性的なことをしよう、そしたらいい企業に入れる。
(ちなみに就活の関係で2.3年以降「個性」は内面に移行する。やたらとゴミを拾ったり、MacBookとりんご持ってうろついたりするやつは4年生だ。)
こうした、憧れと義務感の狭間で、我々は4年間の個性探しの旅へと出かけるのだ。
これは普遍の事実であり、多くの人に共感して頂けることを願いたい。
でなければ私のアレはただの黒歴史になってしまう。
・・・
あなたの「デビュー秘話」もぜひ教えて頂きたいです。
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