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人間が、人間をみるから作品は生まれる。

ピカソが好き。になった。
なぜかって、人間を描いているから。

なんて言っても、もともと作品に詳しいわけでもなければ、若い頃から好きだった訳じゃない。
ピカソ歴、半年だ。
浅い浅いオッサンが、独りでピカソ飲みした話。

それは、タバコを吸う為に店を出るとどこからかギターの音が聴こえる素敵な夜でした。

絵は、大の苦手だった。違うな。今も全く描けない。
毎日見ているはずの猫(タビー)も犬(アルフ)も、日々を一緒に過ごしてくれるもの全て描こうと思っても描けない。
目の前にあるビールグラス。肉のついていない焼き鳥の串ですら。
不気味なほどに描けない。

だからこそというか、絵画の価値は理解しがたいものだったし、憧れと嫉妬。恐怖と怒り。どちらかと言うと負の感情を抱きつつ、距離をおいて生きてきた。

が、数年前。
何気なく彷徨っていた書店で、価値観を変える運命的な出会いを経験したのでした。

続く…………



……いや、嘘です。書きます。(なんで嘘ついた。)


これが私の人生を狂わせた、アウトサイダーアートとの出会いでした。
こんなに胸踊るものがあるのか。と。

作品とは本来、自由だ。帯にもあるように、魂を込めていればどんな形であれ作品なのだ。

忘れていた創作意欲が、作品集を眺めるにつれてどんどん溢れてくる。
不思議な感覚だった。

アウトサイダーアート?なんぞ?という方はWikipediaをどうぞ。

とはいえ、絵を描くことはできない。
歌詞を書いたり曲を作ったりを少々。

……んーー?
まぁ、それだけだ。
できることなんて、たかが知れてる。

でも、作りたくなったという変化が大きい。

それと、知りたくなったこと。

書店で何時間も過ごすのはただの趣味だった。
お決まりのデートコースみたいな。
見馴れた風景に見慣れない文字を探すのが楽しかった。

代わり映えしない散歩道に、新しい路地を見つる。
そんな気分。

この作品集に出会ってから、書店に行き美術のコーナーを徘徊するのは、学校に登校してまず好きな女の子を眺める。それと同じくらい当たり前のことになった。

とはいえ美術館に行く勇気はない。
どんな顔をして過ごせばいいのかわからないから。
書店ではこれがないから良い。
いつも通り立ち読みがメイン。
(書籍を購入しないで帰る方が少ないので迷惑ではない。はず。)

単純に楽しかったし、知らない世界は刺激でいっぱい。それでも一つ一つがわりといいお値段なので、美術関係の書籍に関しては購入をためらってきた。


そんな貧乏性の自分を突き動かした記念すべき2冊目はショーンタン。


男が椅子に座り、オウムの顔と向き合っている絵が特に突き刺さり、この1枚の為に買ったと言っても過言ではない。凄まじい程の魅力である。

切り抜きでもいい。
絵画を部屋に飾りたい。こんな気持ちになったのも初めての経験だった。
貧乏性が邪魔をして、切り抜くなどできるわけもなく、作品を眺めるだけの日々は続くのですが……

あくる日ツイッターをボケッと眺めていると、誰かがRTしてくれたおかげでムラナギさんという方の絵に出会いました。

主には様々な生物を描いてる印象ですが
景色だけを描いた作品もあって
景色だけなのにどこか生命を感じる所が好きになっていきました。

迷いに迷った末、窓と空を描いた作品を購入することに。

絵がある暮らし。若い頃には想像もしなかった世界。
顔も知らない誰かが筆やペンを動かして描いた作品が、生活の一部になっているという不自然が妙に心地いいです。

今では暮らしに欠かせない景色の1つとなっています。


……ピカソの話しは何処に??笑


うーん。
読み物で言えば、自伝やエッセイが好きだ。
音楽も似ていて、人間臭さが溢れてる作品が好きだ。

ピカソは幼い頃から学校の授業でも目にしているし、出会ったという感覚とは少しニュアンスが違う気もする。
見ているようで見ていなかっただけ。
正確には見る気も無かった。だってわからないから。

今になってようやく、あぁ、ずっと人間を描いていた方なんだなぁと。
もちろんピカソ自身も含めて「人間」を描いているからきっと好きなのだ。


俺はこんな風に「人間」を描けるだろうか。自分の筆で。自分の言葉で。自分のメロディで。
自分自身で。

Let It Be.あるがままに。


なんで急に英語なんだ。

まぁ、とにかく。
好きだなぁとか、作品として観れるなぁみたいな感覚には必ず人間臭さがあるんですよ。
個人的には、ですけどね。

それはきっと自分自身が人間臭さの発展途上に居るからであって、文章でも人付き合いでも「これが俺なんです」ってのが見つかってないからだろうなぁ。

40歳を目前にしてまだまだ自分のことすら知らない。
自分に向き合ってきた人だけが本当の「作品」を遺せるんじゃないかなって思います。

世界一周の旅をしたって、探してるのはきっと自分の中にある「人間」なんだ。

人間を見つけて、人間を描ける。
そういうものに憧れてるんだ。


見つかるといいね。

あなたにも、あなたが。

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