私的神戸案内
新刊「繭の中の街」で神戸の街を描くにあたって、資料探しや取材のため、ここ10年ほど疎遠になっていたこの街をふたたび幾度か訪れることになった。
親密さよりは風通しの良さ、所属感よりは常に異邦人でいられるような気楽さをただよわせた街である。
西東三鬼が「神戸・続神戸」(何度読んでも名著!)で描いていたような、アナーキーな自由さは今はあまり感じられず、そういう性格は京都市の左京区あたりに移ったんじゃないかと思ったりするけれど(それも10年以上前の所感なので現在はわからない)、歌人の南耀子さんが表現する「セルリアン・ブルーの海と空」のあかるさや、陳舜臣が書く「神戸に三日住めば神戸人」という感じ、山から海まで徒歩で移動できるコンパクトさが生むアトラクション感は変わらずに、ある。
今回は、そんな神戸の街を個人的に案内したいと思う。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?