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今年読んで救われた本

今日は、今年読んだ本の中で、ふとした時に思い出してしみじみ救われたなぁと思う本について少し書いてみようと思います。

山内道士さん著「自分の「好き」がうつを治す」。

図書館の新刊本コーナーで見かけてたまたま手に取ったのですが、精神科のお医者さんが書いた本で、帯に「幼少期の親子関係から身についた強迫性がうつ症状を引き起こす⁉︎」と書かれている通り、主に「強迫性」というものに焦点をあてて、うつ症状について考察されています。

精神分析等の視点から丁寧にうつ症状を解説されてますが、その中でも特に、強迫性=「しなければならないことをすることにやる気を出そうとする傾向」に焦点が当てられています。

自分自身を振り返っても、「やるべきことを片付けていくこと」にはある種の気持ちよさがあるなぁと。それはそれで一つの側面として有りだと思うのですが、時にそれが「やりたい事をやること」よりも優先されてしまうと、あまりよろしくないことになってしまいがち、というのは身に覚えがあるなとしみじみ。

この本の中で最も印象的だったのは、育児中のお母さんたちの不安として、「子どもをちゃんと育てられる自信がない」「育児に対するプレッシャーがある」という声が多いという話。それに対する山内さんの考えは、子育てをどうすべきかと難しく考えるよりも、まずはスキンシップの気持ちよさに注目しましょうというもの。赤ちゃんの肌、子どもの肌はもちもちして気持ちいい。それに触れてると気持ちいい、という単純な感覚、気持ちが大事と強調されています。これは一見とても単純な事で、そんな事?とも思えますが、私にとっては目から鱗というか、とても新鮮な視点でした。

育児をしていると、子どもにイライラして怒ってしまったり、うまく対応できなかったりする事ばかりで「子どもを大事にできていないんじゃないか」とか「自分は愛情不足なのでは」と自己不信や落ち込みがちになることがしょっちゅうあります。これまで読んだ子育て本は、「子どもにどう対応すると良い」というハウツーやスキル的な内容が多く、それはそれでもちろん役には立つこともたくさんあるのですが、「肌に触れると気持ちいい」という、シンプルかつ根本的で、精神論でもなく、素朴な感覚に関する話なので、どんなにイライラしている時でも否定できないというか、100%迷いなくそうだなと思えるので、気持ちがすごく楽になるなぁと。本を読んでから、子どもをギュッと抱きしめる事が増え、そうすると怒ってしまった時も仲直りしやすく、自分自身の心も落ち着くなぁと思います。

自分自身があれをしなきゃ、これをしなきゃと焦っている時にも、やらねばならない事を片付けて気持ち良くなっている時にも、まずいまずい、これは強迫性だなと気づき、立ち止まって考えられるという意味でもとても助けられてる一冊です。

うつ症状に悩む人だけでなく、子育てに悩む人、強迫性というものに心当たりがある人にはとてもおすすめです。

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