キヅキは二行で死んだ。あかんではないか。
嗚呼、つらい。るあらいわ。つらつら。つらつらつらりんぱい。三ノ宮駅を出たぱい山を見渡すえちうらヶ浜。辛山(つらやま)源次郎は旗本七力顔三郎と面対決をしたのであった。ぬぬぬぬっ。ざざ。ざざざざっ。ざっざざざざざざっ。 かーーーーっ! いや〜〜〜〜! ばたっ。 きさま卑怯者っ! がっはっは。お主はまだまだつらがあまいのよ。
そういえば廿数年ぶりに眼科に行きました。コンタクトレンズを作りましたんす。で、作ったっつったて彫刻刀でこりこりと製造したわけじゃあないんでございやんす。で、ありんす。植物物語。眼科から買うたんでやぬす。ヤヌスの鏡。ねるねるねるね。ビックリマンチョコ。ビーバップハイスクール。〽︎エルはなんのエルエル……。スケバン刑事。JINSで安く買おうと思って処方箋をもらいに行ったら「初回はうちで買って貰います」。
えーっ!
そうなんだー。
ほじほじ。
本題。
ちょまった。ソフトコンタクト一日お試しレンズ? っての? 今日は処方したぼくの目にコンタクトが合うかどうか試すだけの試供(百円)レンズをつけてたのでR(あーる)。二十ウン年ぶりにメガネなしで世界がくっきりと見える。か、感動の嵐! ゲームセンター嵐! 釣りキチ三平! あまりの感動に……。やるっきゃ騎士(ナイト)! きまぐれオレンジロード! 若い女性技師の耳元に「コンタクトしたらHが変わりますね! 」口に出そうになった。それと、家に帰ってシャワーを浴びたのだが、浴室の黒カビがバリバリ見える。もうバリバリ伝説(しげの秀一)だった。やばいね。コンタクトセックス。推奨します。お相手募集。
さて、本題。
献血に。打ち間違い。
簡潔に。
頭にふと、村上春樹さんの「ノルウェイの森」が浮かんで。読み直さなかった。いまはそんな暇はない。あとで読もうか。そんなことよりもコンタクトHが。ただいまお相手募集中。 がはっ。ガンバの冒険! regain! 二十四時間戦えますか? ウコンの力!
七年前、ぼくは京都にいた。
小説も書き初めのころで小説なんてなにをどう書いていいかわからなかった。そもそも「小説とはなんぞや」みたいな素人だった。いまも素人ですが。で、話は飛ぶが、京都四条の丸井(いまは京都河原町ガーデンとなってる)。エスカレーターで上がった三階のスタバでこりこり書いていた。ある女性がぼくのとなりに座ってちょいとお話しすることに。彼女は高校の国語教師。なぜか話の流れは村上春樹の「ノルウエイの森」に。
「ぼくはノルウエイの森って詳しくないし。三回くらい読んだけど、よくわからないです。けれど、一番覚えているのは、あのキヅキ(主人公の友人で直子の元カレ)くん。冒頭かなぁ。もうすこし後かなぁ。ある日とつぜん、二行だか三行で死んじゃったんですよ。たった二行で。ノルウエイの森の内容はさっぱり覚えてないんですが、あの二行の死だけは強烈に覚えてます」
ぼくがいうと。
「それっ! 私も思いました! たった二行で! 」
ふたりで大爆笑だった。まわりのお客からは冷たい視線が。それほど気があったシーンである。
さっき「ノルウェイの森」「キヅキ」「死」でググった。
キヅキはなぜ死んだのか?
の記事ばっか。そんなのしらねえよ! 楽しめればいいじゃねえか! じぶんのアカデミズムを開陳したいのだろうか? よくわからない。ぶりぶりぶりぶり。ぺっ。
最後に。
しかしぼくが今度、書き手側になったいま。「二行の死」は非常に秀逸な手法だと気づく。筆者のキャラの殺し方だ。書き手のみなさん。ぜひ、主要キャラを二行で殺してみてください。これはなかなか難しいですよ! その「たった二行の死」が作品全体の謎(なにかの陰謀論のよう)になって世界観を覆っています。「ノルウェイの森」は村上春樹さんの長編五作目ですが。以後の長編作品にも影響があるんじゃないかな。
おまけ。
冒頭(作品のセットアップ)を、三行で書けたらもう立派!
町田康「告白」の冒頭より。
安政四年、河内国石川郡赤坂村水分(すいぶん)の百姓城戸(きど)平次の長男として出生した熊太郎は気弱で鈍くさい子供であったが長ずるにつれて手のつけられぬ乱暴者となり、明治二十年、三十歳を過ぎる頃には、飲酒、賭博、婦女に身を持ち崩す、完全な無頼(らい)者と成り果てていた。
父母の寵愛を一心に享(う)けて育ちながらなんでそんなことになってしまったのか。あかんではないか。
続き。読みたくなりますね!