800字日記/20221105sat/119「推し、燃ゆ」宇佐美りん / 読書メモ
一気に読んだ。読ませる力のある作品だ。
感想は書かない。理由は、小説は個人の嗜好に拠る、自分の価値や評価を他者に押しつける行為はしない。
これは自分の為のメモ。
気づいたこと。
⑴ 丁寧な文章(時間をかけて書いたと思わせる)
⑵ 教科書のよう構成(プロット、シーン割り)
① 推しを推す「あたし」
② 事件(推しの炎上、暴行事件)
③ 学校にて
④ あたしのブログ記事
目覚まし時計
⑤ 大衆食堂(居酒屋)バイト先にて(店長、幸代さん、三人の知った顔)仕事にテンパるあたし、勝手口にて。
⑥ 家族にて(海外転勤中の父、祖母、母、姉、)
母の性格、姉の性格、家族会議
⑦ 推しのインスタライブ(ラストの伏線)
⑧ 勉強ができない。留年決定(中退)
痩せ細るあたし、保健室にて、トイレで吐く
⑨ 祖母の死。
病院への車のなか(母、あたし、姉)
⑩ 推しのラストライブ。
⑪ 推しの投票は最下位(ブログ記事)
⑫ 祖母の家にて〜ラストシーン。
観終えると朝になっていた。⑦でフォロワーに拡散された「推しの家?」へと向かう(ラストの読みどころ)。
筆者は上記のシーンを非常にていねいに描写をしている。できるだけ説明をしていない。外観描写が非常に上手い。外観描写で心情を表現するのは日本文学の王道だ。
筆者が描く物語の細部を、顕微鏡で眺めているようだった。個人的には少し息苦しさを感じた。
描写はうまい。が、ほとんどが静物描写で、動きが少ない。躍動感が薄かった。丸山健二や村上龍とは真反対だ。文体で距離をたもつのは村上春樹だ。それぞれの作家性がある。
ひとつ、主人公が世界と接する距離感が気になった。それでも作品は良くできていて、まさに「いま私は日本の純文学を読んでいる」と感じさせる。
ことばや語彙の豊かさや、文(行間)の密度や、物語の硬度(純度)やモチーフだが、これらはだれもが養える。
自ら養えないモノ。マテリアルと文体だ。
掘り当てないと。と思う
令和の時代だし歳だし。根を詰めないで。
(800文字)