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冒頭で出会うVol.9.1_夜のファミレス
夏の、暑い夜。国道沿いに外灯がついているのは町ではこのファミレス一軒くらいだ。潮にさらされた、夜の空になじんだきいろい看板が点いたり消えたりする。腕時計のバックライトを光らせる。そろそろラストオーダーの時間だ。湿ったしおさいが迫ってくる。あと五分まってひとりもこなかったらかえろう。ズボンのポケットに手をつっこんで車のキーをにぎりしめた。
海岸沿いに、弓なりになってのびる国道の闇から、背のたかいSUVのランプがちかづいてくる。仰々しくフォグランプまでつけている。日高の車だ。
そのとき、ポケットのなかでにぎっていた携帯がふるえた。三橋だった。
耳に受話器をつけた。
「お〜い、なかなか」
国道からふりかえって、レストランをみると、ボックス席で、顔をあかくさせた三橋が手を振っている。ビールでもいっぱい引っかけたようすだった。
「いたんですか」
受話器は切れていた。この時間だ。このあと代行を頼むのか、自分でおくってやるのか、おもっていると、レストランの駐車場に、日高のSUVが、まるで中学生の自転車がみたいにいきおいよく滑りこんでくる。闇のなかで砂がまって咽せた。日高が降りてきた。日高も酔っ払っていた。
「三橋はまだか」
「なかで待ってます」
「おう。蒼ヰもいまきたところか?」
ちょうど、いまきたところです。といって、蒼ヰは日高のまえに立ってレストランの扉をおした。
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書いて感じたこと、
⑴語り手の年齢、性別、をきっちり最初に決めると入りやすい(今回は「最後の弟子」のいつもの漁協メンバー)と思った。
⑵石田衣良先生。勉強になりました。
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![蒼井瀬名(Aoi sena)](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/68835914/profile_ebdb29924df664f9a6b2ac8e7c4e0a69.jpg?width=600&crop=1:1,smart)