
箱庭
ーーその手のひらの小さな庭に、
「よおし、説明してやろう、
あらゆる物事の成り立ちを」
と囁く、言葉の王の、
箱庭には「見る」海、
「話す」浜辺があって、
鹿は「聞く」を意味し、
空には「嘘をつく」が羽ばたき、
住人たちが風を見つめ、
草原を駆け、山の頂上に立ち、
語る言葉、そのものが、
世界の観念であり、
未来の地層に埋める骨と同じく、
未知とは「未知」という存在で、
握られたコインの裏か表かを問われ、
「わからない」を終わりではなく始まりに、
言葉の王は琥珀色に染まる森で、
夕暮れから数字を取り出し、
無造作に「1」から「10」まで並べ、
手のひらに小さな箱庭を作りーー