庭でアシナガバチと共存するには。
いつか刺されると思ってた、と友人に言われた。
でも私は絶対に刺されることはないと思っていた。
ある日、アシナガバチにおでこを刺されたのだ。
アシナガバチは危険だから、巣を見つけたら駆除!
一般的にはそう言われている。
確かに刺されたらとても痛いらしいし、数回刺されてしまうとアナフィラキシーショックの危険性もある。
(アレルギー反応によって、複数の臓器に症状が強くあらわれる状態をアナフィラキシーと呼ぶ。特に、血圧が低下して意識の低下や脱力を来すような場合を「アナフィラキシーショック」と呼び、直ちに医療機関で適切に対応を進めないと生命にかかわる重篤な状態となる。)
それでも私はアシナガバチの巣を駆除しなかった。
アシナガバチの生態
アシナガバチは肉食の蜂である。
人間にとっては招かざる客のイモムシ(多くは蛾の幼虫)をコネコネと器用にダンゴにして巣に持ち帰る様子を何度も見た。
アシナガバチは庭の仲間なんだ、と巣を作り始めたことを喜び、その城が大きくなっていくのをニマニマと眺めていた。
まずは一匹のおかあさん蜂(いわゆる女王蜂)がコツコツと小さな巣を作り始める。
私は「おかあさんがんばれー」と見守る。
アシナガバチといえども天敵はいる。
主が帰らずに巣が小さいまま残されている時もあり、思わず
「帰らぬ人(蜂)となったか…」と、自然の厳しさに憂うことも。
そんな危険を潜り抜け、卵を産み、巣が大きくなり仲間が増えていく。
働き蜂の寿命は約1ヶ月程と言われている。
秋になると蜂の数は減っていき、その年に活動していた女王蜂は寿命を迎え、今年産まれた新女王蜂が家の壁の隙間などで冬眠するというサイクル。
作られた巣を使うのはその年限りで再利用されることはない。
蜂がいなくなった巣をまじまじと見ると、とても精巧で美しい。
これがほんの数ヶ月のために作られるとはまったく儚いことだ。
あおねこガーデンのアシナガバチ
私の庭には、毎年数個のアシナガバチの巣ができるようになった。
窓の近くのクレマチスを誘引しているワイヤーであったり、軒下の壁であったりだいたい毎年同じような場所にできる。
私はアシナガバチが巣を作り始めたことに気づいたら、ここに巣があるということをしっかりと把握しておくようにした。
アシナガバチはスズメバチなどと違い、こちらが何かしない限り自ら攻撃するような気性の荒い蜂ではない。
場所さえわかっていれば、共存することは簡単だと思っていた。
仲間だと思っていたのに…
だけど刺された。
理由は至極簡単で、巣がある場所を忘れていたからだ。
それはクレマチス・ミケリテの一番花が終わった枝の切り戻しをしていた7月下旬。
切り戻しに集中してしまった私は、アシナガバチの巣がそこにあることを忘れていたのだ。
思い切り枝を引っ張った瞬間
眉間にバチン!という電気のような衝撃が走った。
痛い、という前に
「あーそうか!ごめん!」と声が出た。
これは100%私が悪い。
(すぐに病院に行きました)
その次の年から、アシナガバチの巣があまり見られなくなった。
ここは危険と認定されてしまったのだろうか。
とてもさびしい。
またアシナガバチの巣ができたら、しっかりと場所かわかるマークを
しようと思う。
自然と共に暮らすために
蜂だから危険、ということではない。
生き物は自分を守り子孫を残し種を繋ぐために生きている。
そのために様々な防御や攻撃を備えている。
動かない植物であっても、トゲや毒で身を守っている。
それは決して人間に害をもたらそうとするものではないが自然と暮らすというのは、そういう危険も受け入れること。
もしかしてそのシステムを全然知らないの人間だけなんじゃない?って思う。
よく知ろうとせず、不都合なものは排除しているんじゃないか。
全てを知ることはできなくても、人間として関わることができる事柄について調べてからでも対処は遅くない気がしている。