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ゴーストVチューバー・スパチャ恐喝事件

——列島怪異犯罪二十四時。
——丸妖それは怪異犯罪対策課の総称。
——昼夜を問わず怪異を取り締まる緊迫の現場にカメラが迫る。

「最近はコロナ禍の巣ごもりを狙ったサイバー怪異犯罪がここ数年で増えました」
 M県警三雲署の怪異犯罪対策課課長の山岸は、渋い表情を浮かべながらインタビューに答えた。
「最近Vチューバ―を装った幽霊のスーパーチャット恐喝なんてのがありましてね。サイバー犯罪課との合同捜査で検挙しました」
——それがこの外付けハードディスクですか?
『急急如律令』と書かれた黄色いお札が幾重にも貼られた、外付けハードディスクが山岸のデスクに置かれている。
「この中に入っている容疑者が、投銭スパチャをしないとポルターガイストを止めないぞと、ライブ配信視聴者を脅したわけです。昔はこの手の犯罪者はレンタルビデオ店に、呪いのビデオとして潜伏していた訳ですが、現代だとこの通りです。犯行スピードの加速と規模の広がりを感じますね」
——規模の広がり。
「怪異犯罪の組織化です。困ったことに怪異のアップデートを促している手合いが居るのです。現にこの容疑者が集めた金銭の流れは、巧妙に電子化され秘匿がされていました。なのでその金がどこに流れているのか目下捜査中です」
——ちなみにこのハードディスクはどうされるんですか?
「ああこれですか焼却処分ですよ。懇意にしている施設で御炊き上げをします」
——裁判はされないんですか?
「御炊き上げ後に容疑者は即、冥府に送還され閻魔庁にて正式な裁判が執り行われます。容疑者を問答無用で火刑に処しているように民間の方には誤解をされがちなのですが、違うんです。実際のところ彼岸あちらの住人は此岸こちらの法で裁けない。ですから御炊き上げで冥府へ強制送還をして、彼らの法に処遇を委ねている訳です」
 山岸は革靴の踵で床をコツコツと鳴らしながら語る。

【続く】

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