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それでもやっぱり庵野監督はプロフェッショナルだと思う

プロフェッショナルを観た。庵野監督がシン・エヴァンゲリオンを産み出した最後の4年間の密着は凄まじかった。
庵野監督がどういう人なのか、今まで私は全くみたことがなかったので、今回初めてこの人に触れる作品を見た。嵐のような人だった。映像の中でも語られていたけれど正しく少年の心を持った少年だった。でも、何も分かっていない子供なんかじゃなくて、自分の中にあるものしか作品に落とし込めないと言っていたのだから、人と人の関わり方について、シン・エヴァンゲリオンのなかでシンジくんが理解して、新しい世界を作る選択ができた彼のように、庵野監督も答えを出せた側の人間なのだと思う。なのに、少年の心を持ってい続けられているのは本当にすごい。

シン・エヴァンゲリオンは、庵野監督の追体験がキャラクターの人生に落とし込まれているからこんなにもリアルな心理描写が描けていたのかと納得した。心のどこかで、庵野監督は世論を理解した上でのエンディングを今回作ったのでは?と少しだけ残念に思っていた。最後まで、誰かの心を追体験する作品のままでエヴァンゲリオンはいて欲しかった。
こんなに綺麗な終わり方本当にするの?納得しているの?と、思っていた。

本当はわからない。であれば、私は今回のシン・エヴァンゲリオンは庵野監督が全てを出し切った、最高の映画だと思うこととする。
未来に向かって走り出すのは、王道のエンディングだけれど、真理だと思った。1秒後だってわからないのだから、もう走り出すしかないのである。

庵野監督はエヴァンゲリオンがプレッシャーで重荷だったのだろうか。というよりもただ単に生きる上で結局人と関わるってなんなんだろうな、生きるって何だろうな、自分ってなんだろうな、人との境界がなくなるのは本当に幸せではないと言い切れる選択なのかな、今のがいい世界なのかなってことを永遠と考え続けていたのではないかと思う。この答えが見つからなければ、この映画はできあがらなかったのだから。それが重荷だったのではないかと思う。

これを踏まえて、劇中のキャラクターの行動、セリフを思い出すと庵野監督の心の葛藤が垣間見える。
生きているのも死ぬのも嫌なのに食べないと死ぬから食べるけど本当は生きる選択をしたみたいで食べるという行動が辛いシンジくんの姿など、庵野監督のなかからリアルに吐き出されたものだと思うと、どうしてこんなにも繊細に吐き出せたのかとため息が溢れる。

最後の最後にプロフェッショナルという言葉が嫌いときっぱり言い切っていたのは、プロフェッショナルって言ってしまうと到達点にいる人々の集団のような、自分は高みにいると思われているような、そしてそれにプライドを持っているような人だと思われる、されてしまうのが嫌なのかなと何となく思った。庵野監督は作品を作りたい、作るぐらいしかできない、だからやってる。気づいたらここに立ってるけどひとりにしないで欲しいということなのかなと思った。

ビジネスパートナーになったら、本当に大変だろうし、ものすごい愚痴を言うだろうけど、一度でいいからこんな人たちと仕事してみたいなと思った。というか、やっぱりモノづくりはカッコいい。多分辛いこと9割だと思うけど、1割の瞬間の煌めきが凄まじい。この瞬間のために生きる価値があると思わせる感情の爆発があると思う。

本当にエヴァンゲリオンを創ってくださった皆様ありがとうございました。
私にとっては生きる糧となり希望となって、人生の軸に巻きついた作品になりました。この舞台裏を知った上で観るシン・エヴァンゲリオンが楽しみで仕方がないです。

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