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フジロック経験・Glimpse Groupなど出演の下北沢ライブ、豪雨吹き飛ばすほどの熱を帯びる

DJ、バンドの計5団体が集うライブ『FRIDAY NIGHT FEVER』が、6月28日に東京・下北沢BASEMENT BARで開催された。名古屋から上京し共同生活しているというthe Tiger、『FUJI ROCK FESTIVAL』に出演したGlimpse Group、この2バンドを呼んだArTwinsがそれぞれの時間を堪能した。筆者が聞いたのはGlimpse Groupまでだが、今回は、ライブハウスの近距離感や濃密な体験など、みんなが音楽の夜に酔いしれた様子の一部を紹介したい。

各グループが演奏した順番は以下の通り。

Koshin(DJ)
ひなひよ(DJ)
the Tiger(バンド)
Koshin(DJ)
Glimpse Group(バンド)
ひなひよ(DJ)
ArTwins(バンド)
※ArTwinsのwには発音記号・ウムラウトが付く。

ライブハウスは建物の地下1階にあり、最大250人が入場できるよう。横長の空間で、お客がどこに立って聞いても出演者の表情が見られ、目も合うくらいの距離感。

ここで流れた、Michael Jacksonによる声変わり前の歌を聞けば、彼の歌手としての原型がそこにあったことに気付き、うなりたくなる。『The Love You Save』『Rockin' Robin』のときJacksonはそれぞれ11歳、12歳で、トランペットの音をそのまま人間の声に変換したような声が聞ける。

筆者と一緒に行ったメンツの1人は『Fantasy』が好きだと言っていた。『Down In Mexico』は冒頭から楽器がぶんぶん鳴らしていて、個人的なお気に入り曲に追加された。

▼DJセットリスト(一部)
『The Love You Save』(The Jackson 5)
『Rockin' Robin』(Michael Jackson)
『Nobody But You Babe』(Clarence Reid)
『Fantasy』(Earth, Wind & Fire)
『I Don't Blame You At All』(Smokey Robinson・The Miracles)
『7 heure de matin』(Jacqueline Taïeb)
『Down In Mexico』(The Coasters)
『Alidina』(Toots & the Maytals)
『愛が止まらない~Turn it Into Love~』(Wink)

DJパートをいったん終え、名古屋出身の4人組バンド・the Tigerの音楽が始まる。

筆者がthe Tigerの音楽を聞くのはこの日が初めてだったが、Vo.Gt.・Linさんの音楽的スタイルに釘付け。Linさんにはエネルギーがありあまっている、と思うほど全身が楽器として鳴り響いていて、体の使い方が上手い。

Linさんは歌いながら、Dr.ともGt.ともBa.とも魂が震える熱いソリを聞かせてくれた。楽しい!という表情が各々の顔に出ていた。

BARのタコスが美味しい話と、お酒に強い森さん(Gt.)でも、29日に使うライブ会場ラ・カーニャのお酒は3杯でギブアップしてしまう話など、音楽でお腹いっぱいな中、MCでも記憶に残る時間をシェアしてくれた。

the Tigerの曲は歌詞と曲名が一致しておらず、順番も記憶がない。

▼the Tiger披露曲
『働き者の歌』
『金町』
『我慢できない』
『Travelin'』
『ラスト・トレイン』

Glimpse Groupの1曲目は『愛になりたい』。

Music Videoは、タンクトップ女性が建物のベランダの外に広がる海を眺めるサムネイルが印象的。静かな音のイントロで始まり、人が夕陽を浴び、海にぷかんと浮かぶ情景が想像できる。楽器の細かな単音的な音が心に染みわたる感じがする。

Glimpse Groupが28日歌った中で筆者は、『愛になりたい』『My Girl』が好きだ。どちらかというと、ゆったりした曲調の曲が好みかもしれない。

1曲目で柔らかい空気が漂うが、『Ajisai』では薄暗い夜道を疾走するような気持ちになる。それぞれが、ごりごり感情を放出してごりごり弾いていたと思う。『Paradise』はVo.藤本さんの伸びやかな声が特に生かされた曲で、ネオンの光がふわふわ暗闇の中にさりげなく宿っているのが脳内に思い描ける。

「♪天使の子 悪魔の子/やばい方へ駆けてゆく」という歌詞で始まる『My Girl』は、毒味のない穏やかなイントロからは想像できない言葉で歌われる。サビにVo.とBa.のハモりもあり、二重の声が主体に「♪私の名前は何?」と問いかける。この曲だったか、Ba.の速弾き、ああいうの好きだ。耳を澄まして何度も聞きたくなる。

Glimpse Groupは湘南にゆかりを持つ人たちが結成したバンドで、曲名や歌詞に海の言葉が登場しており、『愛になりたい』『Paradise』『Her Waves』Music Videoは海で撮影された。静かなところは声も音も本当に静かで、海にぴったりなアーティストだと感じさせる。

最後の1曲『Make Me Lion』が奏でられ名残惜しいと思っていると、アンプの音の余韻が消える前にメンバー全員が楽器を置いたまま上手に戻っていく。

Music Videoのみを聞くと全体的に彼らの音楽は静寂を保っていると受け取れるが、ライブを見るとその印象が変わる。

2023年の「OTOTOY」インタビュー記事でGt.のTeeDeeさんが、「藤本をどうやって世に出すのかっていうのしか考えてない」と語っている。無口だという藤本さんがステージの上では別人で、音楽の世界に乗っている方だと感じた。

Gt.は聞かせどころばかりで幾度もキラキラしていたし、Ba.塚田さんは弾くとき目をつむって歌うときだけ開けているのにこだわりを感じた。ほんの一瞬見せる笑みが印象的。大内さんのDr.は楽器の性質上そう感じるのもあるだろうが、250人規模のBARに全く収まりきらないほどの熱気を放っていた。

Glimpse Group1人1人の個性と、バンドとしての一体感がそこに共存していた。ライブハウスで音楽を共有する楽しみが感じられたと同時に、大きな会場、野外での音の響きがどのように聞こえるのかが気になる存在だ。ちなみに『FUJI ROCK FESTIVAL』「ROOKIE A GO-GO」に出演したこともあるという。

▼Glimpse Groupセットリスト
1.『愛になりたい』
2.『Ajisai』
3.『Paradise』
4.
5.『My Girl』
6.『Her Waves』
7.『Make Me Lion』

ライブに行った日が豪雨だったのもあり、筆者はGlimpse Groupの演奏が終わった後にBARを出てしまった。ひなひよさん、ArTwinsの生音もどこかで聞きたいと思う。

開演前に靴下がびちょびちょになったが、数時間後、雨はあまり降っていなかったと同行人が話していた。BARを出て先程までとんでもない豪雨だったのを思い出す。バーミヤンで開演15分前に食べた蒸し鶏サラダが辛かったとか、豪雨だったとかいうことを完全に忘れるくらい、歌を愛する人たちの熱を浴びている濃密な時間だった。

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