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朝食
朝食
向こうむきに寝ていても僕は不安で、
鏡に映る壁紙を見たり
絵の中に出たり入ったりしていた。
造船工場の鐘が鳴る。
停泊していた船から
荷物が運び出される。
木箱の中は果物のように思え、
その中でも何だろうと考えていると、
僕は薬剤師さんの長かった髪が
短くなって、
吹き通る風が
変わるだろうと考えたことを
思い出しました。
朝ごはんを買いに部屋を出て
階段を降りると船員さんに出会う。
「おみやげ」と紙袋を一つ頂く。
「ありがとうございます」
僕は袋を開けなくても
その中は香りで蜜柑だと思った。
お店に向かいながら袋を開ける。
蜜柑だそれも甘い蜜柑だと思った。
木箱の中は
甘い蜜柑でいっぱいだったんだ。
だから朝ごはんを買って
帰ってすぐに窓を開け、
僕はその香りを運ぶ風と青空と
朝食にする。
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